北京
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23/19
今年の8月15日は日本では「終戦から78年」の日です。東京生まれで、現在はカナダ在住のジャーナリスト・乗松聡子さん(58歳)は15日、中央広播電視総台(チャイナ・メディア・グループ/CMG)の取材に対し、加害の歴史を学ぶことは、日本の平和構築に不可欠だと強く訴えました。
乗松聡子さん
乗松さんは取材に対し、戦後日本の学校教育について、「原爆や空襲の被害を取り上げて、『戦争はいけない』とか、『平和を祈る』といった、漠然とした平和教育が中心だ」と語り、「大日本帝国が行ってきた他国への侵略や、植民地支配の事実、それを支えてきた民衆の差別感情を克服するような教育はほとんどされていない」点に問題を感じたと指摘しました。
そのうえで、「米国の原爆投下はもちろん許されないが、原爆の被害を語る時、強制連行された上に原爆で命を落とした朝鮮人や中国人が被害者の約1割を占めることを忘れてはならない」と訴えました。また、長崎にある大村飛行場は中国への渡洋爆撃の起点であり、広島は軍都であった歴史に触れ、「長崎も広島も原爆投下で凄まじい被害を受ける大前提として、加害の地であったという史実を日本人として記憶しておかねばならない」と主張しました。
今年は、1953年の朝鮮戦争停戦協定から70年に当たります。これについて、乗松さんは「この戦争は日本から解放されたはずの朝鮮が分断され、内戦状態となり、最後は米中戦争の様相も呈し、日本も加担した。この戦争でさえいまだに終結できていないのに、今、米国と日本を含む同盟国は再び新たな戦争を中国に仕掛けようとしている。広島と長崎は戦前から大日本帝国の中国侵略の拠点だったが、現在も日米の基地が張り巡らされ、再び侵略戦争の拠点になってしまっている」と現状の東アジアの安全情勢を憂慮しています。
乗松氏はまた、「日本人が常に加害の歴史の事実を学び、それを記憶し、継承し、二度としないという決意を持ち続けてこそ、初めて友好が可能になる」と指摘し、メディアの受け手に対し「嫌中情報に踊らされず、批判的な目を養い、人と人との交流を大切にすることが、平和を促進し、戦争を防ぐことになる」と訴えました。(取材:王小燕、校正:坂下)