【観察眼】麻生氏の“戦う覚悟”発言 国内外からの罵声を浴びた理由

2023-08-11 20:09:42  CRI

 日本自民党副総裁の麻生太郎元首相はこのほど台湾訪問中の演説で、台湾海峡で戦争を起こさせないためには「抑止力が必要であり、日米や台湾にはいざとなったら“戦う覚悟”が求められる」と強調した。麻生氏のこの発言は、中国大陸や台湾、さらには日本国内から多くの批判を浴びている。

 中国外交部の報道官は、「中国はもう1895年に馬関条約(下関条約)に署名した清朝政府と同じではない。台湾問題で日本の一部の政治家があれこれ発言しているが、いったいどんな資格や自信があるのか」と指摘した。また、在日本中国大使館は、麻生氏の発言は「身の程知らずで、でたらめだ」と批判した。

 台湾の国際政治専門家である頼岳謙氏は、麻生太郎氏が過去の日本の統治者による台湾人への弾圧を謝罪するどころか、台湾が武力を増強し、戦争の準備をするよう積極的に推進していることについて、「非常に悪質で、最悪だ」と痛烈に批判した。台湾紙『中国時報』は、「麻生氏は、台湾地区は自衛すべきであり、絶対に日本を巻き込んではならないと考えている。日本は米国と組んで、台湾海峡の両岸を共に負けさせ、漁夫の利を得ることを望んでいる」という記事を掲載した。

 麻生氏の発言に対し、日本の立憲民主党・岡田克也幹事長は「非常に軽率だ」と批判。共産党の小池晃書記局長は「極めて挑発的な発言だ」と述べている。立憲民主党の小沢一郎衆院議員も、「一番冷静であるべき政権与党の幹部が、わざわざ台湾まで赴き、戦争を煽ってどうするのか」と苦言を呈した。

 先月、日本の井野俊郎防衛副大臣は英国メディアのインタビューで、中国大陸が台湾地区に対して武力を行使した場合、日本は「台湾に何らかの支援を提供する可能性が高い」と主張している。今回の麻生氏の台湾訪問に同行した自民党の鈴木馨祐衆院議員は日本のテレビ番組で、麻生氏の発言は「政府内部を含め、調整をした結果」だと明かしている。

 つまり、今回の麻生氏の発言は決して気まぐれなものではなく、個人的な発言でもないということだ。そこには、強硬姿勢を押し出し、日本国内でより多くの票と支持を獲得して自民党の地位を固めようという狙いがあり、台湾問題を口実に日本の軍事を加速させ、武装を継続し、「正常な国家」としての日本の地位を回復させようという思惑もある。そして、麻生氏の今回の発言は、日本とともに中国大陸を抑制しようとする米国の企みに台湾を従わせようという日本側の考えを再びあらわにした。

 麻生氏の台湾訪問に前後して、複数のメディアは日本関連のニュースを2つ配信している。その一つは在日米軍横須賀基地に関するものだ。昨年、同基地からの有毒な廃水の海洋放出が発覚したが、十分な調査が行われないまま終了した。これに対し、基地周辺の住民はこのほど横須賀市当局の姿勢に対する抗議を行い、汚染原因の早急な究明を求めている。もう一つは、告発サイト「ウィキリークス」が明らかにしたサイバー窃盗に関するニュースだ。米国は日本の閣僚の一部を含む日本国内の35のターゲットから情報窃盗を行っていたことが明らかにされている。

 麻生氏やその取り巻きたちは、この2つのニュースを知っているのだろうか。自らの問題に目をつぶり、他人の傀儡であることに甘んじ、他国の内政に干渉し、歴史の教訓を忘れ、地域衝突を煽り、日本のイメージを壊し続ける。そんなことで、自らの政党の地位を固め、日本を「正常な国」に戻すことができるとでもいうのだろうか。(CMG日本語部論説員)

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