北京
PM2.577
23/19
日本の麻生太郎自民党副総裁が台湾を訪問し、台北での講演で中国を念頭に「台湾海峡の平和と安定には強い抑止力を機能させる必要がある」とし、そのために「日本とアメリカ、台湾には『戦う覚悟』」が求められると主張した言動に対し、日本国内の有識者や民間団体は相次いで抗議を表明しました。
鳩山由紀夫元首相は10日に東京で開かれた日中平和友好条約締結45周年記念大集会で、「日本は憲法で戦争を放棄したはず。日中平和友好条約の第1条で、紛争の解決を武力による威嚇に訴えないことを確認している」と指摘しました。そのうえで、「日本政府は『日中共同声明』で、台湾は中国の一部であるという中国の立場を理解し、尊重するという姿勢を示している。台湾問題は中国の内政問題であり、日本は日中共同声明の立場に戻り、台湾の独立を支持しないことが肝要だ」と訴えました。
日中平和友好条約締結45周年記念大集会でスピーチする鳩山由紀夫元首相
民間団体「未来日中研究会 」は10日、「麻生太郎自民党副総裁の台湾”公式訪問”および台湾での暴論に抗議する」と題した声明の中で、まずは「政権党である自民党のナンバー2である副総裁が台湾を”公式訪問”すること自体、あってはならないこと」と指摘しました。背景として、台湾問題は国連においても、日中関係においても「決着がついた」問題であることを挙げ、「日中国交正常化以来、日本と台湾の関係は非政府間関係となり、交流は民間の経済と文化に限られた」と振り返りました。一方、米中対立を背景として、政権党である自民党はここ数年来、「米国に合わせるように、台湾への関与をエスカレート」し、昨年末の自民党政務調査会長、幹事長の相次ぐ台湾訪問に続く今回の副総裁の訪台に至る流れは「独立主権国家として恥ずべき米国盲従」だと痛烈に批判しました。声明はまた、麻生氏の発言は「あからさまな中国敵視」、「対中国『事前宣戦布告』とも言える」、「北東アジアの平和と安定を破壊するもの」と強く反対する意向を示しました。
また、民間団体「自主・平和・民主のための広範な国民連合」は11日、自民党総裁でもある岸田文雄内閣総理大臣に「自らの立場を明確にして国民に説明すべき責任があり、その実行を強く求める」という趣旨の抗議文を発表しました。抗議文は、麻生氏の講演は「専守防衛を逸脱し、中国を挑発するもの」で、「断じて許すことができない」という認識を示し、岸田首相に対して、事前に発言を許容していたのか、「台湾」は中国の内政問題であるという従来の立場を守るか、日本は憲法9条に基づいて一貫して非戦・平和の立場を貫く立場を改めて表明すべきこと、対中国戦争の準備を直ちに中止すべきといった4点に絞って岸田総理の説明責任をただしています。
なお、「未来日中研究会 」を始め、関係者は中日平和友好条約締結45周年の記念すべき年に際し、「両国は互いに内政に干渉せず、互いに脅威とならず、友好、協力関係を構築し、アジアの平和と安定に貢献すべきである」とも訴えました。
(記事:王小燕、校正:坂下)