北京
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三大格付け会社の一つ、ムーディーズは7日、米国の中小銀行10行の信用格付けを引き下げたほか、USバンコープやバンク・オブ・ニューヨーク・メロンなど大手6行を引き下げ方向で見直しの対象とし、他の11行の格付け見通しを「ネガティブ(弱含み)」に引き下げた。この情報が伝えられると、「名指し」された銀行の株価は次々に下落し、他の大手銀行にも波及した。
ムーディーズの報告書は、米国の銀行が資金調達圧力や不十分な監督管理など「多重の圧力」に直面していると指摘する。中でも「資金調達難」が米国の多くの銀行が直面する存続の危機だ。
なぜ一部の米国の銀行は救済策に頼って「延命」を図る状況に至ってしまったのか。これは米銀行業界の脆弱性を一定程度反映している。米銀行業界のこの脆弱性は、米国の経済政策の突然の転換と「冒険的」傾向によってもたらされた悪い結果だ。長い間、米国の政治家は有権者の心をつかむために歳出を拡大し、拡張的な財政・金融政策を採用する傾向にあった。新型コロナが発生すると、米国は「無制限」の量的緩和を実施し、超低金利を維持し、大規模な景気刺激策を打ち出し、結果として高インフレを招いた。これにより米連邦準備制度理事会(FRB)は暴力的な利上げを余儀なくされた。ムーディーズの報告書が述べているように、米銀行業界は概して「金利上昇に対する準備ができていない」。欧州の経済政策研究センター(CEPR)は、米銀行業界の危機は個別事例ではなく「体系的」なものだと指摘する。
同時に、監督管理の問題が米銀行業界のリスクを高めている。米国は2018年、党派の利益と中小銀行のロビー活動の影響を受け、「厳しい監督」対象の地方銀行の総資産の閾値を500億ドルから2500億ドルに引き上げる法案を提出した。その結果、25行が「厳しい監督」対象から外れた。今年5月に経営破綻したファースト・リパブリック・バンクは当時「網から逃れた魚」の一つだ。
わずか数日の間に格付け大手2社が米国の信用格付けを引き下げたことは偶然ではない。あるアナリストによると、国債の増発、金利政策の大盤振る舞い、最近の銀行危機、これらは皆、米国の長期にわたる勝手気まま、ドル信認低下の結果だ。さらに重要なのは、格付け会社による頻繁な「赤信号」は米国の経済ガバナンスの欠如に対する警告であるということだ。
フィッチとムーディーズによる2度の格下げ警告は、十分に明確なシグナルを送っている。問題は、米国の政治をつかさどる者が教訓とすることができるかどうかだ。(CRI論説員)