【観察眼】福島の桃、食べる勇気はある?

2023-08-09 17:16:34  CRI

 先日、ある日本メディアが、中国が日本の水産物の検査を厳格化したことがどれだけ日本に影響を与えたかを分析するテレビ番組を放送した。番組では、中国が日本の10の県(都)産食品を禁輸し、水産物の放射能汚染状況を厳しく検査していることに司会者が首をかしげ、中国人に「処理水」は徹底的に処理されていることをアピールしても不十分なのかと専門家に問いかけた。専門家は、「処理水」に関しては知識のギャップが存在し、中国人には簡単に理解できないと答えた。

 この番組の司会者とその専門家に聞きたいことがある。中国がなぜこのような厳しい検査措置を取るのか、本当にわからないのか。中国がいわゆる「処理水」とは何なのかを理解していないから厳しく規制していると、本気でそう考えているのか。放射能汚染水を含む福島第一原発事故で大量に放出された放射性物質を、日本国民は本当に平気で受け入れることができるのか。

 筆者は東日本大震災発生後、仕事やプライベートで何度も日本を訪れ、半年間日本に住んだことがある。そのときよくスーパーで買い物をしていたが、日本のスーパーでは、福島産の桃などの果物が常に目立つ場所に置かれていた。しかし、包装が美しく、価格も安いのに、買う人はほとんどいなかった。福島が産地の食品は、包装に書かれた「福島県産」という文字が、気づかれるのを恐れているかのように小さくなってしまう。果物だけでなく、ジュースでも桃の味のものをなるべく買わないようにと教えてくれた日本人の友人もいた。ジュースのパッケージには加工場の名前は明記されているが、原材料の生産地は明記されていない。これは桃の名産地の福島の桃である可能性が高いからだ。

 今月、福島の桃の出荷が最盛期を迎える。大きく赤く熟れているのに、食べるのがはばかられる。同番組の司会者や専門家を含め、どれだけの日本国民が食べる勇気を持っているだろうか。自国民も納得していない食べ物を、他国が無防備に受け取ることを望むのは、非現実的だ。

 また、日本も同様に他国の安全面に問題のある食品の輸入を停止する措置を取ったことがある。日本は米国にとって最大の牛肉輸出相手国だった。2003年12月、米国で初めてBSE(牛海綿状脳症)感染牛が確認されると、日本政府は直ちに米国産牛肉の禁輸を発表した。当時のホワイトハウス報道官は、米国の大統領はいつものように牛肉を食べていると述べ、米国産牛肉への自信を示したが、日本は認めなかった。日本が米国産牛肉の輸入規制を徹底的に撤廃したのは16年後の2019年のことだ。中国と同じように国民の食の安全を守ることに全力を尽くす日本は、今の中国のやり方を本当に理解できないのだろうか。

 長崎に原爆が投下されて9日で78年となった。日本国民ほど、放射性物質による被害の甚大さを知っている人はいないだろう。日本政府が放射能汚染水の海洋放出を強硬に推し進めることは、日本の水産業、農業、食品業に大きなダメージをもたらすだけでなく、観光業、医薬品業、日用品業など多くの業界に甚大な影響を及ぼす。日本メディアの最新の報道によると、日本政府は放射能汚染水の海洋放出計画を早ければ8月末に始める見通しだ。日本政府には、「のど元過ぎれば熱さを忘れる」ことをせず、真に自国民の健康のために考えてほしい。何しろ、放射能汚染水の海洋放出で真っ先に被害者となるのは日本国民なのだ。(CMG日本語部論説員)

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