中国の科学研究チーム イネの生殖的隔離の謎を解明

2023-07-31 11:49:34  CRI

 

インディカ米とジャポニカ米が交雑すると、重度の雑種不稔性を示す

 イネの花粉には、二つの不思議な遺伝子があり、一つは「破壊者」、もう一つは「守護者」と呼ばれています。「破壊者」はすべての花粉にダメージを与え、花粉の発育不全を引き起こす一方、「守護者」は「破壊者」によるダメージを阻止するので、この遺伝子を受け継いだ花粉だけが保護されて正常に発育できます。この二つの遺伝子を見つけるのは容易ではないため、クローン技術を生かして、良質で生産量の高いハイブリッドイネを育成することは、世界の科学者にとって夢のような作業です。

 中国工程院の万建民院士が率いる、中国農業科学院作物科学研究所、南京農業大学の科学研究チームが協力し、13年をかけてインディカ米とジャポニカ米の雑種が花粉を作らないという雄性不稔を引き起こす遺伝子座を系統的に鑑定し、そのうち最も効果的な遺伝子座の一つについて遺伝子クローンと遺伝・分子メカニズムの深い解析を行い、稲の生殖・隔離の謎を解明しました。

 国際的な学術誌『セル』は2023年7月26日、「雑種イネの不稔分子メカニズムを解明し、イネの生殖的隔離の謎を解く」という重大な成果をオンラインで発表しました。この成果は亜種間雑種の優位性を利用した多収量品種の育成に理論的・技術的な支援を提供し、中国が既存のハイブリッド稲より15%以上収量の多いスーパーハイブリッド稲を育成することを可能にしています。

 中国農業科学院の呉孔明院長は、「この研究は2018年の利己的遺伝子(個体を犠牲にしてでも自分のコピーを残そうとする遺伝子の特徴を言う表現)の研究に続き、同チームが雑種不稔分野で得た画期的な進展だ」と述べています。研究チームは、「この発見を利用すれば、良質で抵抗力が強く、ストレス耐性の高い優良遺伝子とこのペアの遺伝子をつなぎ合わせ、これらの優良遺伝子を作用させて子孫集団においてホモ接合を急速に広げることで、育種時間を大幅に短縮し、育種効率を高めることができる」との考えを示しました。(雲、坂下)

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