【CRI時評】米高官が立て続けに南太平へ、すべて「戦略配置」のためか

2023-07-28 09:27:00  CRI

 米国のブリンケン国務長官は26日、在トンガ米大使館の新館開館式に出席した。米国とトンガの大使館開設は国交樹立51年目にして初めてだ。同日、米国のオースティン国防長官はパプアニューギニアを訪問した。両長官はその後、オーストラリアで合流してオーストラリア側と毎年恒例の「2+2」会談を行う。

 厳密に言えば、米高官2人はオーストラリア行きの際に、南太平洋諸国に「ついでに立ち寄った」わけだが、二人の行動には南太平洋での影響力強化に向けた米国の動きの延長線上にあるという側面がある。米国はこの2年ほど、いわゆる「インド太平洋戦略」推進の一環として、南太平洋地域に大挙して「進軍」している。

 このような熱気のこもった振る舞いは、数十年前には考えられなかった。米国は第二次世界大戦後、南太平洋地域を核兵器の実験場や核廃棄物の置き場所として利用した。そして冷戦終結後には南太平洋地域は戦略的価値を失ったと判断し、経済援助の大幅な縮小や大使館閉鎖、ボランティアの撤収に乗り出した。米国と南太平洋諸国の関係は「休眠状態」になった。

 一方で中国は過去十数年にわたり、太平洋の島しょ国と相互尊重を基礎とする互恵協力を展開し、これらの国々の政府と国民に歓迎された。このことが、米国の戦略的焦りを引き起こした。米国はゼロサムゲームの思考によって、これまでの傲慢さと無視を一変させて、高官をしばしば訪問させて巨額の援助を約束するなど、南太平洋諸国について急に熱心になった。

 太平洋の島国にとって、現在直面している最も現実的な脅威は、気候変動がもたらした生存の危機であり、発展の遅れがもたらした国民の生活水準の低さだ。米国の地政学による競争の駒になることは根本的に望んでいない。しかも、南太平洋諸国に対する米国など西側諸国のいわゆる「援助」は基本的に、いわゆる制度構築など、西側の政治制度を移植して押し付けるために使われてきた。このような援助は米国など西側の戦略的目的に奉仕するものであり、現地の経済発展を促進し、人々を幸せにしようとする誠意は完全に欠落している。

 米国側はいわゆる「中国脅威論」をでっちあげ、南太平洋諸国に自国の戦略意図に沿った行動をさせようとしている。米国は独立自主の発展を堅持するこれらの国々の決意を過小評価している。ソロモン諸島のソガバレ首相が言うように、中国との互恵的で友好的な協力を阻止することは、何をもってしてもできない。(CRI論説員)

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