北京
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ユネスコは6月30日に特別総会を開き、米国のユネスコへの復帰を問う投票を行い、賛成132票で米国は加盟国としての地位を回復した。
米国はユネスコの創設メンバー国だが、米政府はユネスコを政治闘争の舞台と見なし、気に入らなければ脱退をためらわず、2度にわたってユネスコを脱退した。米国の世論が指摘しているように、地政学的駆け引きは米国と国際機構の長年の恨みを招いた。
米国の最初の脱退は1984年で、当時のレーガン大統領がユネスコのずさんな管理、腐敗、旧ソ連への「ひいき」を理由に脱退を表明した。しかし、2002年、当時のブッシュ大統領が米国のユネスコへの再加入を決めた。米メディアは、当時の「復帰」は主に国際社会を団結させて対テロ戦争を展開し、同盟国にアピールするためだったと見ている。2度目の脱退は2017年10月。トランプ政権は、ユネスコが「反イスラエル」を助長しているとして、イスラエルと相次いで脱退を宣言した。今回の復帰について、フランス国際関係戦略研究所(IRIS)の国際問題専門家は、「米国のユネスコへの復帰は『多国間組織にとって朗報』だが、そこには『多くの虚偽と蠱惑(こわく)が存在する』」と語った。また、この専門家は、米国の決定は教育、科学、文化問題で「より多くの影響力」を持てるようにするためであると同時に、米大統領選を前に、一部の支持獲得を狙った「一種の蠱惑的な行為」でもあると主張した。
現在、ユネスコは「人工知能のルール、規範、基準」を検討しており、米国は「これに参加したい」としている。AP通信によると、今年3月、米国のジョン・バス国務次官は、ユネスコへの復帰が米国と中国との「グローバル競争」に役立つと米政府は確信していると語った。また、「われわれがデジタル時代における中国との競争に本気で取り組むのであれば、教育と技術の標準策定の鍵となるこのプラットフォームをこれ以上欠席するわけにはいかない」との考えを示した。
これについてAFP通信は、米国は中国を「最大のライバル」とみなし、人工知能などの新興技術分野で「中国に対抗する」意向だとの見方を示した。AP通信も、米国の今回の決定は「ユネスコのアジェンダに対する中国の影響力の増大に対抗するためだ」と分析している。
教育、科学、文化、通信分野の国際協力を推進する機関として、ユネスコは多国間主義と協力精神を重視すべきである。しかし、アメリカの復帰の意図が、ユネスコのアジェンダを操作し、中国の影響力を抑制することにあるとすれば、それは組織の本来の意図に反することになるだろう。米国側が今回行った決定が責任あるものであり、国際的責任を負い、国際的義務を履行し、多国間主義を支持し、国際協力を促進することを本来の目的としていることを希望する。国際機構を地政学的なゲームの場とすべきではない。(CMG日本語部論説員)