四川省イ族の山村生まれの女性　厳しい運命に負けず名門・上海音楽学院に合格

　中国南西部にある四川省楽山市峨辺イ族自治県の山村に生まれ育ち、幼くして両親と死別したイ族女性の尼里金枝（ニリジンジ）さん（19歳）はこのほど上海音楽学院の学部入学を決めました。尼里金枝さんが苦難な運命に屈せずに、高校と支援者の助けを受けて音楽大学の超名門校である上海音楽学院に合格したことについて、インターネットでは多くのユーザーが「いいね」をクリックして、「運命の激変に見舞われてもくじけずに頑張れば、美しい歌を得ることができる」などと称賛しています。

 合格通知書を手にする尼里金枝さん（オンライン動画から）

　尼里金枝さんの生まれ故郷の大堡鎮化林村は標高1000メートルの山村です。末っ子の彼女は幼い頃に両親を亡くし、出稼ぎに行った兄の収入で学校に通いました。学校側は彼女の厳しい家計事情に配慮して、義務教育を終えた後の高校3年間は、寮生活などでの基本的な生活費を除いて、すべての費用を免除しました。 

発声練習に励む尼里金枝さん

　尼里金枝さんは大学統一試験の前に上海音楽学院の試験を受けました。一次試験、二次試験、さらに最終試験に至るまでいずれも順調に合格し、また上海音楽学院芸術学部の入学に必要な統一試験では、合格点を66点も上回る優秀な成績で、同学院の声楽オペラ学部声楽歌唱科に合格しました。合格通知書を手にした尼里金枝さんは、「大学でしっかり勉強をして、卒業後には音楽の道を歩んでイ族の文化をもっと遠くにまで伝えたい」と抱負を語りました。 

自信に満ちた様子で上海音楽学院の入試に臨む尼里金枝さん

ステージに立つ尼里金枝さん

　中国の大学入試制度では、音楽や美術、演劇などの芸術専攻を希望する学生は、大学統一試験の前に希望する大学の入試を先に受け、合格した上で大学統一試験で志望校の合格ラインに達する必要があります。（Yan、鈴木）