【CRI時評】NATO首脳会議はなぜ中国に改めて「ぶちあてた」のか

2023-07-13 19:36:51  CRI

 リトアニアの首都、ビリニュスで行われていたNATO首脳会議が現地時間12日に閉幕した。前日に発表された会議の共同声明は、十数回にわたって中国に言及し、中国が欧州と大西洋の安全保障に対しての「系統的な挑戦」を構成していると改めて主張した。

 NATOが事前に設定した予定では、今回の首脳会議では主にウクライナ情勢と人員増加について討議することになっていた。なぜ中国に改めて「ぶちあてた」のだろうか。実は、不思議なことではない。NATOは世界最大の軍事同盟であり、その存続の根本的なエネルギーは絶えず対抗相手を持ち続けることで保たれる。対抗相手はどのようにして決まるのか。冷戦終結後にNATOが何度か更新した「戦略概念」の文書を見ると、毎回の更新は米国の戦略調整にほぼ従うものであり、米国の戦略上の要求を反映している。

 NATOは今や、欧州の安全保障の代弁者ではなく、米国の利益の擁護者に成り下がっている。NATOは「系統的な挑戦」の構成を理由に、中国を理不尽にも非難しているが、おそらくはNATO内部の多くのメンバーですら納得していないだろう。なぜならば、中国は自ら衝突を起こしたことが一度もなく、他国の領土をほんのわずかでも奪い取ったことはなく、代理戦争を起こしたこともない。これらは事実がはっきりと示している。しかも中国は三十数年来、国連平和維持活動に延べ5万人以上を派遣し、「平和維持活動の鍵となる要素であり、鍵となる力だ」と言われている。

 「仮想敵」を作ることに最も長けているNATOこそむしろ、世界が最も警戒すべき「系統的な挑戦」だ。ウクライナ危機について言うならば、NATOが東進してロシアの安全保障空間を侵食し圧迫してきたことが根源にある。米国は危機発生以来、大量の武器をウクライナに輸送するようNATO加盟国に働きかけ、戦局を緊迫化させた。この戦争は欧州の地で発生した。NATO加盟国の圧倒的多数は欧州の国であり、当然ながら戦争の直接の被害者でもある。米国の先棒を担いで手に入れたのは満身創痍の自らの姿だ。欧州の安保情勢が悪化したことはまぎれもなく「ぼったくられた」ことだ。

 客観的に言えば、NATO内部にも理性的な声がいくつかある。フランスを代表とする一部の加盟国はあくまで欧州の戦略的自主を求めており、NATOが北大西洋の地理的境界を越えてアジア太平洋に手を伸ばし、日本に連絡事務所を設立すべきでないと考えている。フランスのマクロン大統領はNATO首脳会議後の記者会見で、NATOは北大西洋の組織であり、日本は北大西洋にはないと述べた。こうした声はNATO内でより多くの同意を得る必要がある。仮にNATOがあくまでも米国に追従して、欧州を混乱させた次にはアジア太平洋までも混乱させようとするならば、待ち受けているのは断固たる抵抗だ。(CRI論説員)

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