【CRI時評】大衆の怒りを買う日本の汚染水放出計画 なぜ一部の西側諸国はそんなにも「安心」しているのか

2023-07-11 14:30:48  CRI

 国際原子力機関(IAEA)が福島第一原発から出る放射能汚染水の海洋放出をめぐる評価報告書を発表してから10日で1週間近くがたった。この間、日本の汚染水海洋放出計画に対し、太平洋の島国、フィリピン、インドネシア、南アフリカ、ペルー、中国、韓国など、国際社会から反対の声が絶えないのと比べると、米国など西側諸国の対応には考えさせられる。

 IAEAの評価報告書発表を受け、米国務省は「歓迎する」との声明を出し、西側の政治家はおおむね、物議を醸す日本の海洋放出計画について沈黙を保っている。英BBCの記事は、日本とIAEAの言葉の引用に終始した。記事に添えられた動画では、記者が魚を食べる「パフォーマンス」も披露し、福島近海でとれた魚は「とても安全」で心配する必要は全くないと述べた。

 多くの研究で明らかになっているように、福島の放射能汚染水には60種余りの放射性核種が含まれる。日本側も、多核種除去設備(ALPS)で処理された放射能汚染水の約7割が放出基準の濃度を超えていることを認めている。国連の有害物質・人権問題専門家、マルコス・オレジャナ氏はこのほど、日本の汚染水放出計画について「人権にとても大きなリスクをもたらす」と指摘した。

 だとすればなぜ、一部の西側諸国は、日本の放射能汚染水についてそんなにも「安心」しているのか。それは、彼ら自身の「黒歴史」と戦略的私心に関係しているからで、そのような反応を見せるのも意外ではない。

 米国を例に取ると、ロサンゼルス・タイムズ紙によると、米国は1940年代から50年代にかけて、マーシャル諸島で計67回の核実験を実施した。さらに米国は当時、本土ネバダ州の核実験場から130トン余りの放射能汚染土壌を遠路はるばるマーシャル諸島まで運んで投棄した。今日に至るまで、米国は自らが犯した罪を軽く扱い、賠償額を大きく減らし、全世界の怒りを買ってきた。こうしたことから、日本の汚染水海洋放出計画に対し、米国が一貫して容認する立場を取っている理由を理解するのは難しくない。なぜなら、米国こそが海の放射能汚染を引き起こしてきた「張本人」の一人だからだ。

 米国はまた、核セキュリティーを利益交換のカードとみなしている。2011年に福島で原発事故が起きると、日米はその共同処理と復興に関する協力協定を結んだ。双方は原発事故を同盟関係をより強固なものにする「チャンス」と捉えた。日本側は米国の力を利用して国際世論の場で汚染水海洋放出への支持を取り付け、米国側はこれを機会に日本における軍事的覇権を維持し日本を支配する手段を増大させ、いわゆる「ウィンウィン」を達成した。日本の汚染水放出計画のために他の国がどのような代償を払うことになるのかについて、日米は全く無関心だ。

 太平洋は人類共通のふるさとであり、一部の国の核実験場でも地政学ゲームのカードでもない。日本政府は各当事者の正義の声に耳を傾け、放射能汚染水海洋放出計画を直ちに中止すべきであり、古い過ちもまだ償っていないのに、新たな過ちを増やしてはならない。沈黙を保つ一部の西側諸国も、この計画の共犯者になってはならない。(CRI論説員)

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