北京
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23/19
北京を訪問中の沖縄県の玉城デニー知事は5日午後、中央広播電視総台(チャイナ・メディア・グループ/CMG)の独占取材に応じて、沖縄の観光や地域経済の振興の視点からも、「何よりも大切なことは、日中両国の信頼関係の構築だ」と訴え、「平和こそ観光、平和こそ経済」とする力強いメッセージを発信しました。
玉城知事は取材の中で、「4年ぶりに北京訪問がかなったことをうれしく思う」と述べ、訪問を「沖縄と中国の観光や経済文化の交流を継続し、互恵関係を構築して、さらに発展していけるようなチャンスにしたい」との考えを示しました。
玉城知事は、沖縄県がこの4月に「地域外交室」を設けたことについて、国と国の間の大きな外交に対して、「地域と地域の外交は国の外交を助けるもの」との考えから、「地方同士が学術や文化、経済の交流を図ることによって、より安定した関係を作っていくことこそが、国としての互恵関係の構築につながる」と論じました。
玉城知事は目下の地域情勢について、「アジア太平洋地域における緊張緩和と信頼醸成を形作るためには、関係国同士による平和的な外交や対話が極めて重要だと考える」と述べました。また、沖縄は「アジアの海の十字路の真ん中に浮かんでいる島」と指摘して、「中国やアジア、太平洋地域と交流を進めていき、日本と各国、および沖縄のような地域と地域との信頼関係の構築に積極的に取り組んでいきたい」という考えを示しました。
玉城知事はまた、「日米安全保障体制および専守防衛のための日本国憲法で認められている最低限の自衛力の保持については、理解している」とする立場を示したうえで、沖縄県は「日本全体の0.6%の面積に、米軍専用施設の面積の70.3%を担い続けているという現実がある」と述べ、米軍基地の返還後の土地の有効活用により経済を活性化した事例を踏まえながら、「米軍基地の現実的な整理縮小、土地の返還」が県民の思いであると訴えました。
さらに、「自衛隊の急激な配備拡充によって、われわれが求めている形とは違う意味で抑止力の強化だけが進められてしまい、かえって地域の緊張を高めて、有事の一歩手前のような事態が起こることは決してあってはならない」と懸念を示しました。
玉城知事はまた、「日本政府には平和、経済、交流などの努力を先行して続けていただき、アジア太平洋地域の現在および将来にわたる安定した発展を図っていただきたい」と強く訴えました。さらに、「抑止力のための配備だけを先行させるのではなく、平和であること、有事を起こさないためには何が必要で、何を努力すべきかをしっかりと考えて、その方向にみんなで一緒に進んでいくべき」と行動の方向性を提案しました。
なお、玉城知事は「2023年日本国際貿易促進協会(第46回)訪中代表団」の団員として訪中し、6日からは沖縄県と友好省県関係にある福建省を訪れます。(取材:王小燕、校正:鈴木秀明)