【CRI時評】アルゼンチンが初めて外債を人民元建てで返済 その意味とは

2023-07-04 14:01:11  CRI

 アルゼンチンは6月30日、国際通貨基金(IMF)の特別引出権(SDR)と人民元建て決済の方式を利用して、同日に期限を迎えるIMFからの27億米ドルの融資を人民元で返済した。アルゼンチンが外債を人民元建てで返済するのはこれが初めてだ。その前日には、アルゼンチン中央銀行が、同国の銀行システムで取り扱う通貨に人民元を取り入れ、金融機関での人民元建て預金口座の開設を認可したと発表していた。ミゲル・アンヘル・ペッシェ中銀総裁は「世界の多くの国と同様に、アルゼンチンはずっと人民元国際化を好感している」と述べた。

 今年に入って、中国とアルゼンチンの金融協力が加速を続けている。両国の金融協力の拡大は、両国間の経済貿易関係が健全であることの現れだ。両国の企業が、市場の自主的な選択を尊重するという前提の下で、両国間の経済貿易と投資において人民元建て決済をより多く使用することにより、為替コストの削減と為替変動リスクの低減につながり、二国間貿易の強化に役立つ。

 アルゼンチンにとって、人民元使用の拡大は国内の最も差し迫った問題の解決に役立つ。同国はここ数年、米ドル不足に直面してきた。人民元使用を増やすことは、同国が大量の米ドルを節約し、外貨準備への圧力を大幅に軽減し、経済の活気を維持するのに役立つ。

 中国にとっても、アルゼンチンとの通貨スワップは有益だ。アルゼンチンの米ドル不足という中で、輸入決済に人民元を使用することで中国の対アルゼンチン輸出が保障される。債務を人民元で返済することでアルゼンチンが債務不履行に陥るのを防ぎ、マクロ経済の安定を維持し、市場の信頼を高めることができる。アルゼンチンの経済状況の安定が両国の経済貿易協力にとって不可欠な条件であることは疑いの余地がない。

 長期的に見ると、中国とアルゼンチンが金融協力を強化する意義は二国間だけにとどまらない。アルゼンチンは長年、外債問題に悩まされてきたが、これは米ドル覇権と切り離せない関係がある。米ドル依存を減らすことは、アルゼンチンにとって米ドル覇権を打破するための重要な一歩だ。

 中南米で経済規模3位のアルゼンチンのアプローチにはデモンストレーション効果があり、ブラジルやアルゼンチンに続き他の中南米諸国も続々と「脱米ドル化」構想を提唱している。ベネズエラのニコラス・マドゥロ・モロス大統領は米ドル覇権を取り除くプロセスを開始すると述べ、ボリビアのルイス・アルベルト・アルセ・カタコラ大統領は貿易決済に人民元を使用する可能性を検討すると述べている。これらは、金融の多様化を実現し独立自主発展の道を歩むという多くの発展途上国の願望の現れだ。(CRI論説員)

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