【CRI時評】IAEAが安全性検証のため訪日

2023-05-31 09:45:27  CRI

 国際原子力機関(IAEA)の専門家グループは29日、日本に対する5日間の訪問を開始した。日本メディアによると、これは、IAEAが最終的な評価報告書を公表する前に、福島の放射能汚染水海洋放出計画に対して行う最後の安全性検証だ。11カ国の専門家らは訪問期間中、日本政府および東京電力の代表者らと会見し、放出に使う設備を視察し、6月中に報告書を公表するという。

 福島の放射能汚染水海洋放出を巡り、全世界から強烈な反対の声や疑問の声が上がっている。日本政府は、汚染水海洋放出の「通行許可証」を求めるために、IAEAの評価や検証を利用しようとしてはならない。韓国や太平洋の島国など多くの国の民衆が呼び掛けているように、日本は五つの問題についてはっきりと説明し、国際社会の懸念に応えなければならない。

 (1)福島の放射能汚染水の処分において、海洋放出が唯一の解決策なのか。日本政府は放射能汚染水の処分方法について、水素放出、地層注入、地下埋設、水蒸気放出、海洋放出という五つを示したが、なぜよりによって海洋放出を選択したのか。日本政府の専門家委員会が明らかにしたところによると、海洋放出は他の案に比べて最も低コストな上、日本への汚染リスクも最小だという。

 (2)東京電力の放射能汚染水データは信頼できるのか。福島県で先ごろ行われた放射能汚染水の海洋放出計画に関する説明会で、「日本政府と東京電力には海洋放出による影響への対応措置があるのか」とする民衆の質問に対し、出された回答は「具体策はない」という驚くべきものだった。

 (3)放射能汚染水「浄化装置」は本当に有効なのか。福島の放射能汚染水には少なくとも60種余りの放射性核種が含まれる上、濃度もとても高く、現在の技術では完全にろ過・分解できないことが、多くの研究で明らかになっている。

 (4)放射能汚染水の海洋放出による環境への影響について、なぜ日本は今に至るまで科学的評価を出していないのか。福島の沿岸には世界で最も強力な海流が存在するため、放射能汚染水の海洋放出から10年後には、放射性核種が世界の全海域に広がることが、国際的な研究で明らかになっている。

 (5)汚染水の海洋放出計画について、なぜ日本は周辺国や太平洋の島国などの関係国と十分な協議をしなかったのか。韓国政府が派遣した放射能汚染水視察団が26日に帰国する前に、日本政府は「視察結果は放出計画に影響を与えない」と意図的に表明した。東京電力も26日、国際機関の権威や周辺国の懸念を一切顧みず、海洋放出に向けた工事の状況を報道陣に公開し、「各方面の理解」を得ようとした。

 「われわれはもう一つの重大な放射能汚染災難を防ぐために行動を起こさなければならない」。太平洋諸島フォーラム(PIF)のヘンリー・プナ事務局長は先ごろ、日本に対し、海洋放出計画を諦めるよう強く促した。日本は、国際的義務を誠実に果たし、近隣国などの利益関係者や国際機関と十分に協議して合意に達するまでは決して、汚染水の海洋放出を勝手に始めてはならない。(CRI論説員)

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