【CRI時評】中国とどう付き合うか 米国はキッシンジャー氏の知恵に学ぶべき

2023-05-29 14:00:50  CRI

 米国史上最も注目を集めた国務長官として、キッシンジャー博士がこの度百歳の誕生日を迎えた。これに先立って、中国の新しい駐米大使が彼と面会し、百歳の誕生日を迎えることに対する中国の祝賀を伝えた。これは人情と義理、友情を重んじる中国文化の伝統を表し、この「中国国民の古い友人」が中米関係の発展を促進したことに対する称賛と敬意を表してもいる。

 「現在の、真に多極化した世界において、(キッシンジャー氏の)現実的なアプローチがこれまで以上に必要だ」――米国の『タイム誌』は最近このように論評した。中米関係が再び岐路に立たされている現在、ホワイトハウスの政策決定層はこの百歳の老人の外交的な知恵を学び、くみ取ることが必要だ。

 まず、米国の国益を合理的、現実的に理解し、リアリズムの視点を持つことだ。当時、キッシンジャー氏が中米関係の打開を推し進めたのは米国の国益に基づいたものであったことは疑うべくもない。だが、米国の国益を断固として擁護するものが、なぜ同時に「中国国民の古い友人」になることができたのだろう。それはキッシンジャー氏の外交キャリアが鮮明な「リアリズム」によって特徴付けられていたからだ。それは、イデオロギーよりも国益を優先し、国際関係の変化を正確に把握し、合理的かつ現実的に対外戦略を定めることを意味している。その上で、彼は相互利益に基づいた中米関係構築のために中国と接触し、協力することが米国の利益につながると考えたのである。

 次に、個人的な利益ではなく、プロフェッショナルな精神で、より「純粋」に米国の外交戦略を推し進める事だ。キッシンジャー氏の数々の外交活動には中米国交樹立の推進にしろ、中東へのシャトル外交にしろ、国内での党派間の争いや個人的利害を極力排した、プロの外交官としての資質が示されている。

 また、米国の政治家には長期的な視野に立ち、歴史に責任を負う形で対外戦略を推し進めることが求められる。多くのアナリストたちが、キッシンジャー氏の国際問題処理のアプローチには、国家関係の本質を捉えるとともに、世界の発展という大きな背景を考慮したものだと分析している。彼は「中米関係という、世界で最も重要な両国関係について、世界の平和と繁栄は中米二つの社会の相互理解にかかっており、ひとたび中米間に『新冷戦』が勃発すれば、両国のみならず全世界にとっての災いとなる」と幾度も指摘している。百歳の誕生日を前にしたインタビューで、彼は改めて、「人類の運命は米中両国が平和的に共存できるかどうかにかかっている」と指摘するとともに、米国の政治家が中国の懸念を真剣に考慮するよう提案している。

 「中国と米国が互いを全面戦争で脅かすことなく共存することは可能なのだろうか。私はこれまでは可能だと考えてきたし、今も依然として可能だと考えている」――キッシンジャー氏は最近、「エコノミスト」誌のインタビューにこう語っている。米国が先輩政治家の知恵に学び、合理的で現実的な対中関係に立ち戻り、中米の三つの共同コミュニケの正しいレールに立ち戻るよう望む。それが両国の利益に合致するとともに、全世界の利益にも合致することだ。(CRI論説員)

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