【観察眼】対立と分裂ではなく協力とウィンウィンの道を

2023-05-29 16:23:26  CRI

 米国が主導し、日韓など14カ国が加盟する新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み」(IPEF)は5月27日、米ミシガン州デトロイトで閣僚級会合を開いた。これは、2022年5月に同枠組みが発足してから2回目の正式な閣僚会合だ。報道によると、中国の「サプライチェーン」への依存からの脱却で合意できるかが焦点となっている。

 IPEFの14の加盟国は、米国、オーストラリア、ブルネイ、インド、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、ニュージーランド、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム、フィジー。加盟14カ国で世界のGDPの40%を占めている。

 今回、IPEFは、経済の相互連結(貿易)、強靭な経済(サプライチェーン)、クリーンな経済(クリーンエネルギー)、公平な経済(反腐敗)の4つの柱に重点をおいている。この経済枠組みには、貿易ルールやサプライチェーンだけでなく、クリーンエネルギーの持続可能性の問題や税金や腐敗防止の問題も含まれており、かなり複雑なものとなっている。

 米国通商代表部(USTR)のキャサリン・タイ代表は、インド太平洋経済枠組みの交渉において、米国が市場開放を約束することはないと明言した。これを受けて、IPEFは「中国包囲網」として位置づけられるものであり、インド太平洋経済の枠組みは新たな経済協力圏の構築ではなく、本質的には政治的な行動であるとの見方も出ている。しかし、中国を排除した貿易システムの実現は不可能だろう。

 中国の2021年の貿易総額は5.8兆ドル。世界最大の貿易国であり、米国やEU、多くのアジア諸国の主要な貿易相手国となっている。制裁や関税、輸出禁止などの措置にもかかわらず、2021年の中米貿易額は、2020年を上回る6710億ドルとなった。また、国連貿易開発会議(UNCTAD)のデータによると、世界の輸出に占める中国の割合は2020年には14.7%となり世界トップで、第2位の米国では8.1%だった。中国を排除した貿易システムがどのように機能するのかは、まったく不明確だといえる。

 このほど北京で開催された2023年世界貿易投資促進サミットの開幕式では、多くの出席者が中国経済に対して明るい見通しを示し、中国経済からの「デカップリング」は世界経済の発展にさらなる負担をもたらすと語った。独シーメンスのセドリック・ナイケ取締役や米半導体大手 Nvidia(エヌビディア)のジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)もインタビューで、「中国市場は代替不可能だ。中国市場からの撤退は現実的な選択肢ではない」との考えを表明した。

 また、中国など新興国5カ国が設立した新開発銀行(通称:BRICS銀行)総裁であるジルマ・ルセフ元ブラジル大統領はこのサミットで、「現在、一部の国は一国主義と保護主義をとり、いわゆる『デカップリング』政策によって中国を封じ込めようとしている。このようなやり方は、現在のグローバル化を脅かすものであり、発展途上国に悪影響を及ぼし、富裕国にも損失を与えるものだ。中国の半導体産業チェーンを阻害するような一方的な関税引き上げといった行為は、グローバルバリューチェーンを混乱させ、グローバル化の分断をさらに悪化させるだけだ。一部の先進国の首脳は、このような強制的な国内生産回帰を叫ぶのではなく、積極的な国際協力政策をとり、サプライヤーの多様化を実現し、経済の柔軟性を高めていくべきだ」との認識を示しました。

 中国の発展は世界と切り離すことはできず、世界の発展は中国を必要としている。中国は決して開放の扉を閉ざさない。中国は、中国と協力し合い、中国とのウィンウィンを望むすべての国と共に、世界経済の繁栄と発展を推進することを望んでいる。貿易自体が目的なのではない。人と人をつなぎ、より安全で幸福で繁栄した未来を構築し、すべての人がその恩恵を受けることこそが、最終的な目的なのだ。(CMG日本語部論説員)

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