【観察眼】分裂と対立の提唱はより良い世界となりうるだろうか

2023-05-23 10:15:13  CRI

 G7サミットが5月19日〜21日、広島で開催された。開催国である日本の働きかけで発表された共同声明は中国に関連する議題をあおるもので、これに対し中国外交部は速やかに厳正な交渉を申し入れた。当初、西側のマクロ経済政策を調整するために設立されたG7は、今では米国の「小さなグループの対抗」の場となっている。分裂と対立を提唱して世界の未来は良くなるのだろうか。

 1970年代初めに発生した経済危機に対応するため、西側の主要工業国であるフランス、米国、日本、英国、ドイツは1975年7月に最高級首脳会議を開き、世界経済危機をめぐるあらゆる経済問題について議論した。その後イタリアとカナダが相次いで加入し、G7となった。毎年1回行われるG7サミット、多くの国際行動計画がこの枠組みの中で合意に達し、政治・経済分野で多くの協力成果が得られた。G7は本来、世界の先進国が世界的な課題に対して協力を強化し、共に対策を検討する場であるべきものだ。しかし、今は変わってしまった。

 今回のサミットで発表された声明は、世界の安全保障の維持において、台湾海峡の平和と安定が重要な意義を持つと強調した。声明では、G7各国の「一つの中国」政策を含む基本的な立場に変化はないが、「武力による領土の獲得」は禁止されている。公正に見えるが、明らかに「標的」が見える。「一つの中国」の基本的な立場に変化はないと主張する一方で、台湾独立への反対にはひと言も言及せず、米国を中心とした台湾との恣意的な公式往来は、実質的に「台湾独立」勢力への支援を容認したものであり、台湾海峡の平和と安定に深刻な衝撃を与えている。「一つの中国」の基本的な立場は、台湾独立を陰で支持するという見せかけのものではなく、行動の基準であるべきだ。「武力による領土の獲得」を禁止するというのは、なおさら荒唐無稽だ。「一つの中国」の基本的な立場である以上、台湾問題の解決は中国人自身のことであり、中国人が決めるべきである。口では平和と安定を言いながら、実際には台湾独立を暗に支持し、台湾海峡の安定に影を落としている。G7は言行不一致で、真意が疑わしい。

 G7の共同声明はまた、いわゆる「経済的威圧」を中国になぞらえている。中国経済は急速な成長を遂げており、誰の目にも明らかだ。恩恵を受けるのは中国人民だけでなく、世界経済発展の重要な原動力にもなっている。一部の人はこのような状況を見てじっとしていられなくなり、さまざまな理由で中国を抑制しようとしている。これに対して中国外交部の汪文斌報道官は「G7各国が本当に経済の安全保障に関心を持っているのであれば、米国に対し、国家安全保障を名目に他国への圧力や抑制、一方的ないじめ行為を直ちにやめること、同盟国を脅迫して排他的な小グループを作ることをやめること、またグローバルな産業チェーンやサプライチェーンの安全と安定を乱すことをやめること、世界を2つの市場、2つのシステムに分裂させることをやめること、これらを求めるべきだ」と述べた。中国はまさに米国の経済威圧の被害者なのだ。

 統計によると、米国の対外制裁は2000〜2021年に933%増加した。米国はすでに世界の40カ国近くに対して一方的な経済制裁を実施しており、世界人口の半分近くが影響を受けている。米国の経済学者でピーターソン国際経済研究所の名誉所長であるバーグステン氏は、1980年代に米国が日本に署名を強要した「プラザ合意」が、日本経済に「失われた20年」をもたらしたと指摘した。また、「ドイチェ・ヴェレ」(ドイツの国営国際放送事業体)は、米国は1980年代に日本にしたように、中国に経済的圧迫を加えようとしているが、実際には米国を除くG7諸国は中国に真っ向から対抗したいと思っているわけではないと直言している。

 G7はかつて世界経済の70%を占めていたが、その割合は日増しに減少するにつれ、人々の意識も変化し、G7の存在感は次第に薄れていった。中国に関する話題を煽るのは存在感をアピールする良い方法のように思われるが、分裂と対立を提唱しても、より良い世界の構築につながらない。「アメリカ・ファースト」と少数国の既得権益を擁護する小さなグループは、他国の内政に恣意的に干渉し、世界の情勢を操る時代は、おそらく過ぎ去っていくだろう。(CMG日本語部論説員)

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