8年間も母の病状を記録しつづけて医師を感動させた娘

2023-05-19 13:37:04  CRI

 最近になり、中国東部の江蘇省にある南京鼓楼病院の肝疾患科の医師が肝疾患患者を診察した際、患者の娘の郭さんから母親の病状を詳しく記した図表を示されました。図表には、2015~2023年の8年間、母親の楊さんが転院を繰り返して9回受診した病状の変化だけでなく、受診した病院や投薬状況なども記録されました。医師はこの記録を利用して、長年にわたって楊さんの肝疾患を引き起こしていた原因を特定できました。

病状などを記した図表を手にした郭さん

 患者の楊さんは2015年2月に結腸癌(がん)の手術を受け、8回の治療周期と2回の再検査を経ました。その後、2018年末には肝硬変による胃底静脈瘤が出現し、吐血の症状が現れましたが、病因はわかりませんでした。今年3月になって楊さんの病状が改めて深刻になったので、家族はやむを得ず、病因を突き止めるために多くの病院を巡りました。

 患者の立場からすれば、病院を変えるたびに診療は出発点に戻ってしまいます。医師は最新の検査結果を見るだけでなく、患者の病気の経過をさかのぼる必要があります。母親とは別の場所に暮らしている娘にとって、転院を繰り返す母に付き添うことは、極めて難しいことです。そこで1990年代生まれの郭さんは新しい医師に母親の8年間の診療の経過を速やかに理解してもらい、短時間で手がかりを見つけてもらおうと、母親の8年間の病状変化を記録しました。

郭さんが作成した母親の病状の図表

 南京大学医学院付属鼓楼病院消化科の諸葛宇征行政副主任は、「(記録には)主観的なものもあれば、客観的なのもあるものだが、系統的な図で示されていたので驚いた。彼女の母に簡単な質問を幾つかしてこの図と照らし合わせたところ、非常に正確な記録だった」と述べました。

 医師は郭さんが記録した病状の図表と各検査結果を合わせた結果、郭さんの母が長年にわたり肝臓病を患った病因は、最初の結腸癌手術後に用いられた抗癌薬の「オキサリプラチン」に由来すると推定しました。医師は肝疾患の原因を見出したとして、郭さんの母親の詳細な治療案を策定しました。

 郭さんは、「私は実際にはこの2年間、自分自身が成長してきた。ただ落ち込んでばかりいて、何の行動もしないようでは、(母のために)何の役にもたてない。心配する気持ちを行動に変えて、落ち込みそうになる気分をできるだけ変えて、例えばこの表を作る。そしてもっと多くの人に尋ねる、専門医を探す、もっと多くの文献を調べるなどといった本当に母の役に立つ効果があることをする。これがとても大切と思う」と語りました。

 母親の楊さんも、娘の愛情と思いやりが伝わったことで、強くなりました。楊さんは「娘が私のためにこんなに頑張ってくれているのを見れば、娘をがっかりさせたくなくなる。私は自分で自分を元気づけている。娘はいつも、私にもっと一緒にいてほしいと言っている。だからこそ、私自身がしっかりしようと思う。神様は私に病気を与えたが、良い娘も与えてくれた」と話しました。(Mou、鈴木)

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