【観察眼】悪の種を蒔くと 悪果が実る

2023-05-15 17:54:22  CRI

 G7広島サミットを前に、日本側の小細工が相次ぐ。いわゆる中国の「経済的威圧」をあおり立てる一方、東京にNATO連絡所の開設を進めている。米タイム誌(電子版)は先日、岸田文雄首相を表紙とした5月22日・29日号を掲載し、「日本の選択」と題して「岸田氏は数十年にわたる平和主義を放棄し、日本を真の軍事大国にしたいと望んでいる」と紹介した。戦後70年以上の平和発展の道を捨てて軍事大国の道を歩もうとする日本、その未来はいったいどこに向かうのか。

 NATOと言えば、そもそも冷戦時代に米国と旧ソ連の陣営対抗に生まれ、その存在は欧州に安定を与えるどころか、至る所に敵を作り、トラブルと紛争を招き、欧州に戦禍さえもたらしている。世界最大の軍事組織として、NATOが日本に連絡所を開設すれば、「アジア太平洋版NATO」の第一拠点となる。自衛隊の自主性がどこまで保障できるか不確実な中、NATOとの連携強化は日本にとって実に危ない。どうせNATOにとって、日本はNATOのグローバル戦略と野心を実現させ、反ロシアと反中国のイデオロギーに奉仕する碁石なだけだ。

 また、NATOが軍事同盟組織として、日本に連絡所を開設すれば、関連費用の負担はおそらく日本の納税者の「義務」になってしまう。近年、日本政府は軍備拡張に取り組み、国債が史上最高を記録したにも関わらず、軍拡にはまって新しい安保関連三文書を打ち出し、2023~2027財政年度の防衛費について総額およそ43兆円を確保するよう指示した。この数字は公共事業関係費や文教および科学振興費を上回り、社会保障関係費に次ぐ2番目である。NATO東京連絡所の開設後、軍事面でNATOとの「一体化」がいっそう進めば、関連費用はまた膨らむだろう。それは誰に負担してもらうのか。

 膨張する防衛費は必ず国民の負担になる。さらには医療や育児支援策など多くの財政支出が割り込まれ、国民の基本生活や福祉は直接ダメージを受けることになるだろう。そして、国債発行で財源を調達すれば、子孫に膨大な債務負担を残す。失われた30年と言われる少子高齢化の日本、軍事大国の道は決して成長の道ではなく、将来性のある道でもない。

 さらに、軍国主義が徹底的に清算されていない日本がNATOと結託することは、日本にとってもアジア太平洋地区にとっても良いわけがなく、日本国民の望むところでもない。域外国家や軍事組織を招いてアジア太平洋地区に介入し、人為的に対抗と分裂を作れば、必ず地域情勢の緊迫化をエスカレートさせ、周辺諸国による日本への不信感を増し、地域諸国の警戒を招き、地政学的な争いと軍備競争を激化させることになる。

 これについて、日本の一橋大学の田中宏教授は「NATOはアジアに介入して分裂とトラブルを作ろうと狙っている。日本に連絡所を開設しては、東アジアに何の積極的な意義もない」と指摘した。東海大学の永山茂樹教授は「NATOが東アジアに介入すれば、日本と東アジアの安定が懸念される」と憂慮を示した。さらに、多くの日本人ネットユーザーは「(東京でのNATO連絡所の開設は)戦後の専守防衛の原則を否定し、平和憲法を損ない、国民生活を台無しにする恐れがある」と不満を訴えている。(CMG日本語部論説員)

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