【CRI時評】「米国のシナリオ」に再び逆らった中東

2023-05-09 12:44:34  CRI

 シリアは7日、12年の孤立を経てアラブ連盟に復帰した。同日開催されたアラブ連盟外相特別会合は、「シリア政府の代表団がアラブ連盟理事会およびそのすべての組織と機構の会合に参加する資格を即日復帰させる」ことを決定した。これについて、サウジアラビアとイランの北京での「握手」に続く中東の和解プロセスにおける新たな一里塚的な出来事だとの見方が出ている。

 シリアのアラブ連盟復帰は意外なことではない。シリア危機自体から見れば、2018年以降、シリア政府軍は国土の70%超を支配下に戻し、反対派は徐々に衰退している。ここ数年、内戦の見通しがはっきりとし内戦後の再建が議題に上るにつれて、アラブ諸国はシリア政府と接触するようになり、シリアのアラブ連盟復帰の兆しが見えていた。

 中東情勢の変遷というより大きな視点に立つと、サウジアラビアとイランが中国の仲介で「握手」したことが、シリアのアラブ連盟復帰を直接的に促した。サウジアラビアとイランはシリア危機で異なる政治勢力を支持しているため、両国の和解がシリアとアラブ連盟諸国の関係緩和のきっかけとなったことは間違いない。

 さらに重要なのは、世界が新たな激動の変革期に入る中、世界の大勢を見極めたアラブ諸国が次々に「目を覚ました」ことだ。米国は長きにわたり、中東問題にほしいままに介入し、対抗と分裂をかき立て、延々と続く衝突と戦乱を引き起こしてきた。中東の人々は、「運命を自らの手に握らなければならない」とますます意識するようになった。

 アラブ連盟がシリアを再び受け入れたことを、国際社会は総じて歓迎している。あるアナリストによると、この賢明な動きは、シリアの地域協力強化、経済改善、戦後再建に資するだけでなく、アラブ連盟の国際的発言力の強化、アラブ諸国による政治的相乗効果の形成、国際舞台でのより重要な役割の発揮に資すると同時に、シリア危機の政治的解決という共通認識の達成、中東情勢の一層の緩和促進にも資する。

 ある時期から「米国のシナリオ」通りに行動したがらなくなった中東に対し、ワシントンは動きを続けてきたが、中東和解の大勢を妨げることはできていない。サウジアラビアとイランの「握手」からシリアのアラブ連盟復帰に至るまで、中東諸国は「平和を求め、発展を求め、自分の道を歩む」という明確なシグナルを発している。オンラインジャーナルのモダン・ディプロマシーは、「中東における米国の影響力が低下する中、中東問題は解決されつつあり、中東の春が到来しつつある」と論じている。

 中東で沸き立つ「和解の潮流」は米国に「時代が変わった」ことを注意喚起している。(CRI論説員)

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