脳性まひの「聴講生」、まもなく「博士」課程を卒業 蘭州大学

2023-05-08 14:44:19  CRI


蘭州大学から「名誉大学院生」の称号が授与された謝炎廷さん

 中国はまもなく大学卒業シーズンを迎えます。甘粛省にある蘭州大学では7日朝、同大学数学・統計学院の博士らが記念写真を撮るため運動場に集まりました。その中には卒業証書や学位を取得できない1人の「聴講生」の姿がありました。謝炎廷さんです。謝さんは生後すぐに脳性まひと診断されました。両手と両足が変形している上に、力を込めてゆっくりとでしか話せません。中学校卒業後に高校の授業内容を独学で身につけましたが、大学入試では選択問題の解答を記入するまでしかできず、記述式問題には対応できなかったので、不合格という結果になってしまいました。

 知力の面では普通の人と変わらないのに、受け入れてくれる大学はほとんどなかったのです。最終的に蘭州大学の数学・統計学院が受け入れてくれました。しかし、聴講生としての受け入れであり、学位授与や卒業認定はしないことが条件でした。

 入学した謝さんは、講義中にノートへの記入ができず、目で見て耳で聞いて、頭脳を巡らして考えることしかできないために、講義についていくことは困難でした。しかし、学部で聴講した4年間を通じて、教師は心を込めて謝さんを指導しました。教師は講義の時間外に、質問に応じてくれました。また、謝さん自身も毎日、他の学生の何倍もの時間をかけて勉強に励みました。謝さんはこのようにして、学部のすべての単位を修了した後、大学院の修士課程と博士課程を聴講し続け、数学のグラフ理論の研究を始めました。そして2019年9月には「名誉大学院生」の称号が授与されました。

 2017年には初めて、国際的な学術誌での論文発表を実現し、その後は、第1著者として発表した論文2本が科学技術分野論文のデータベースであるSCIに登録されました。最近では3カ月以上かけて書いた論文を完成させ、現在は口頭試問の準備に全力を傾けています。

 謝さんが決めた人生の目標は数学界のホーキングになることです。(朱、鈴木)

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