【観察眼】メーデー連休の“旅行熱”に見えた中国の活力

2023-05-04 19:06:26  CRI

 今年のメーデー連休は先月29日から今月3日まで。この期間中、SNSを見ると「売り切れ」「即完売」「行列」「人だかり」などの言葉が頻繁にトレンド上位に上がっていた。

 大学生による「特殊部隊式旅行(なるべく短期間に多くの観光地を見て回れるように睡眠時間を削って1日3万歩以上歩く新たな旅行スタイル)」や、山東省淄博市の名物・バーベキューの人気急上昇など、新たな旅行トレンドも見られるようになり、中国の旅行消費市場の熱量は高まり続けている。

 文化・観光部の推計によると、今年のメーデー連休中、中国国内の旅行客は前年同期比70.83%増の延べ2億7400万人に上り、新型コロナウイルス感染症発生前の2019年の同期の1.2倍近くに達した。観光収入は前年同期比128.9%増の1480億5600万元(約2兆9000億円)で、こちらも2019年を上回った。

 海外への団体旅行の再開によって、海外旅行人気も急上昇した。今年のメーデー連休は、海外団体ツアーの試験的な再開後、初の大型連休であり、中国国民の海外旅行需要が解き放たれる結果となった。

 特に注目の旅行先は、「一帯一路」共同建設の関連国だ。例えば、かつてはマイナーだった中東地域も人気の旅行先となっている。「イラン6日ツアー」「エジプト7日ツアー」などの観光商品は発売後、即完売となった。ドバイのある旅行会社の責任者は、ここ数日、ツアーの受け入れに追われているとし、「中国経済の回復は、アラブ首長国連邦など観光先となっている国々の景気回復を後押ししてくれる」との見方を示した。

 東南アジアの人気も依然として高いままだ。先月13日に中国・ラオス鉄道の国際旅客列車が運行を開始したことで、「高速鉄道に乗ってラオスを旅行する」ことが、多くの中国人の休日旅行の選択肢に加わった。国境検査の時間を含めると、列車移動の所要時間は10時間半で、8つの駅に停車する。2等席の運賃は542元(約1万円)と手ごろな上、多くの乗客が「非常に快適だ」と感じるという。「朝は昆明でビーフンを食べ、夕方にはビエンチャンでコーヒーを飲む」というのが、多くの観光客の実体験となった。メーデー連休中の同列車はほぼ毎日満員で、供給が需要に追いつかない状態が続いた。

 日本の業者も、中国人観光客を待ち望んでいる。中国人観光客を「本命」と呼ぶ声もある。テレビ西日本は、入国者に対する水際対策の緩和に伴い、韓国人観光客を中心に日本へのインバウンド旅行が急速に回復しているが、強い購買力を持つ中国人観光客こそが日本の「本命」だと報道した。コロナ前の2019年の訪日外国人観光客のうち、中国人観光客の消費額は1兆7704億円で1位であった。この消費額は、訪日外国人全体の36.8%を占めた。そのため、日本がまだ中国人団体旅行のテスト的な再開対象国リストに含まれていないにも関わらず、日本の多くの旅行会社は、店舗内に中国語翻訳機を設置したり、レストランで中国人向けのフグの解体ショーを用意したり、中国の電子決済アプリ「ウィーチャットペイ」が利用できる店舗数を拡大するなどして、中国人観光客を迎える準備を整えている。

 このメーデー連休に示された“旅行熱”の高さは、中国の巨大な消費の潜在力と活力を映し出し、中国の超大規模な市場としての優位性と中国経済の柔軟性、強じん性を十分に表した。「ホリデーエコノミー」が世界に生き生きとした活力あふれる中国を見せる結果となった。中国は旅行をも通じて、世界経済の回復に原動力を注ぎ込んでいく。(CMG日本語部論説員) 

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