北京
PM2.577
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今週の番組は「週間ニュースファイル」に続き、特別企画「雑談ルーム」です。昨年末に北京入りした日本人スタッフの井上美幸さんと一緒に「大掃除から見えるもの」についてお話します。
2023年5月<今月の特別寄稿>
東京都 イタズラ爺さん・奥田正彦さん(88歳)
楸(ひさぎ=キササゲ)や楝(おうち=センダン)の花をよく知る人は少ないと思います。こんなところが、花好きのぼくが陸游を好きになる理由のひとつかもしれません。印文は、南宋の陸游の詩『幽居初夏雨霽』から「綵縷纏筒」です。
幽居初夏雨霽
(南宋)陸游
楸花楝花照眼明 幽人浴罷葛衣輕
燕低去地不盈尺 鵲喜傍檐時數聲
對奕軒窓消永晝 曬書院落喜新晴
忽驚重午無多日 綵縷纏筒弔屈平
幽居 初夏 雨霽(は)る
陸游(りくゆう)
楸花(しゅうか)楝花(れんか)眼を照らして明らかなり
幽人 浴し 罷(や)みて葛衣(かつい)軽(かろ)し
燕 低く地を去ること尺に盈(み)たず
鵲(かささぎ)喜びて檐(のき)に傍(そ)い時に数声
奕(えき)に対する軒窓(けんそう)永昼(えいちゅう)を消し
書を曬(さら)す院落(いんらく)新晴を喜ぶ
忽ち驚く 重午(ちょうご)多日(たじつ)無きを
綵縷(さいる)筒に纏(まと)いて屈平(くっぺい)を弔わん
【詩の内容】楸(ひさぎ)の花と楝(おうち)の花が明るく咲いている。主人は湯浴みの後、浴衣でくつろぐ。燕は地面すれすれに飛び交い、鵲(かささぎ)は軒沿いに二声三声鳴く。窓の下で碁を打って昼を過ごし、中庭で書物を曝し、晴れた空を仰ぐ。ふと、端午の節句も近いのに気付いた。彩糸(あやいと)を筒にくくりつけて屈原をお祭りしよう。
屈原は詩人であり政治家でもありました。政治的な妬みが原因で、5月5日に洞庭湖に注ぐ汨羅江に入水します。屈原の死を悼んだ人々は、毎年その日になると竹筒に蒸した米を詰めて水に投げ込み、供養しました。しかしある時ひとりの男が現れて、いつも供物を蛟(みずち)に食われてしまう。楝の葉で包み彩糸で括ってくれれば、蛟が怖がって食べなくなるだろう、といいます。それからは、村人たちはそのようにしました。いま、端午の節句に粽を笹や茅萱の葉で包み綾糸で結ぶのはその名残といわれています。
9年前(2014年)北京・アモイへ旅をしました。目的の一つは福建土楼です。福建省南西部の山岳地域に点在する土楼群を見て歩きました。アモイでの最終日は旧暦の5月1日にあたります。旧市街を散策していると「めし屋」の軒先にちまきがたくさん吊してありました。間もなく端午の節句ですね。
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