北京
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世界各地の電波望遠鏡を結び付けて地球規模の電波干渉計として利用することで、ブラックホールの姿をとらえることを目指す国際共同研究プロジェクトのEHT(イベント・ホライズン・テレスコープ)では、2019年4月に人類史上初のブラックホールの写真が発表され、大いに注目を集めました。中国科学院上海天文台の路如森研究員が率いる国際科学研究チームはこれまでに、観測対象となったM87という銀河(島宇宙)の中心部にある「SMBH」と呼ばれる超大質量ブラックホールの画像形成で、新たな成果を達成しました。新たなSMBHと中心部から噴出するガス「ジェット」の画像などは英国の総合学術誌『ネイチャー』の公式サイトで発表されました。
国際研究チームは世界各地にある電波望遠鏡16カ所を利用して、EHTがこれまでに使った電波望遠鏡とは異なる観測範囲と撮影、科学分析を試み、SMBHとジェットを撮影しました。中央の巨大ブラックホール付近のジェットや、その起源との関係を明らかにしたのは今回が初めてです。
新たに撮影されたSMBHと中心部から噴出するガス「ジェット」
EHTによるこれまでのブラックホールの写真とは違い、今回撮影したのは全景図であり、ブラックホールやジェットがとらえられています。EHTがこれまでに発表した写真の延長として、今回の写真はブラックホールと周辺の環境との関係を十分に示しています。
SMBHは地球からの距離が5500万光年で、質量は太陽の65億倍と、これまでに知られている中で宇宙における最大級のブラックホールの一つです。SMBHは巨大なエネルギーのジェットを発生させています。その速度は光速に近く、SMBHが属するM87からはるか遠くにまで達しているとのことです。(殷、鈴木)
2019年に撮影された、人類初のブラックホールの写真(EHT提供)