【CRI時評】「まず撃って、それから話す」米国は一体どんな悪循環にはまっているのか

2023-04-25 18:00:55  CRI

 「彼らは単に間違った場所に行き、間違ったドアを開け、致命的な結果を招きかねない軽率なミスを犯したにすぎない」。米国で最近発生した多くの銃乱射事件について、「ニューヨーク・タイムズ」は最近、こうコメントしている。

 間違ったドアを見つけ、間違った道を行き、間違った車に乗る。こうした軽率なミスが、米国では致命的な災禍につながるかもしれない。「USAトゥデイ」は、「間違った場所」で起こった銃撃や過失致死事件が、何十年にもわたって米国に悲劇的な結果をもたらしてきたと報じている。

 誰もが身の危険を感じ、誰もが自らを守り、誰もがさらに安全でないと感じる。昨今の米国人は深い恐怖感にとらわれている。こうした恐怖感は、近年の米国の犯罪率の上昇と無関係ではないだろう。

 こうしたケースでは、人種差別が重要な誘因になっている。根強い人種的偏見の影響で、かなり多くの米国人が「白人以外は危険だ」という一種の誤った観念を抱いているために、別に脅されてもいないのにマイノリティーに発砲するのである。データによると、銃撃事件の犠牲者の内で15歳から34歳のアフリカ系米国人が占める割合が最も高く、アフリカ系米国人が銃で射殺される確率は白人のおよそ10倍だ。

 近年、米国社会では民意の分断、貧富の二極化、人種差別とも重なる政治の分極化などによって対立の激しさが増し、人々の不安は高まり続けている。調査によると、1970年代の初頭には、米国人のおよそ半分が、ほとんどの人は信頼するに足ると信じていた。だが、この数字は2020年には3分の1に満たないほどにまで下がっている。

 恐怖と不安の下で、ますます多くの米国人が自己防衛のために銃を購入することを選択している。誰もがやむを得ず「銃を持つ」ことを選択するようになった米国社会は「不安・銃を買う・さらに不安になる」という悪循環に陥らざるを得ない。全米ライフル協会をはじめとする銃器団体は金権政治を通じて、一面では銃の保有条件をさらに寛容にするよう推進し、一面ではあらゆる方法を講じて銃規制を阻止している。

 先日行われた全米ライフル協会の年次総会で、多くの政治家が「銃の保有」を掲げて登壇し、トランプ前大統領などは、「銃の保有」を最も支持した大統領と誇らしげに宣言した。選挙と金銭を駆使することで、銃規制の問題は、とっくに票と金で動く民主・共和両党のゲームの道具になってしまっており、銃による暴力は米国社会の「行き詰まり」になっている。

 長い目で見ると、もし制度的な改革がなければ、米国の根深い社会的矛盾を解決するのは難しく、銃はこれらの問題をますます「燃えやすい」ものにしていくだろう。「人権の灯台」を自負する全世界唯一の超大国で、あろうことか「話す」ことよりも「撃つ」ことが優先されるようになるとは想像しがたい。口を開く前に撃たれてしまった米国人の人権は誰が守るのだろうか。(CRI論説員)

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