北京
PM2.577
23/19
最近、西側メディアが中国の人口問題を取り上げて中国崩壊論を煽り立てる報道を多く目にした。それというのも、国連人口基金が19日に発表した「世界人口白書2023」で、インドが今年半ばに中国を抜いて世界一の人口大国になると予測されたからだ。そうなると、中国の経済発展を支えてきた「人口ボーナス」が失われ、中国経済は崩壊するだろうと、西側メディアが盛り上がっている。
だが、この論調は信じられるのか。
まず、中国は国連の予測により世界一の人口大国ではなくなったとしても、依然として世界規模の人口を持つ大国である。しかも14億人超の人口はいわゆる次期世界一のインドとは僅差であり、人口3億4000万人で第三位の米国をはるかに上回っている。しかも、中国社会は全面的な小康社会(いくらかゆとりのある社会)に突入し、中国で14億人のうち、労働年齢人口が9億人近くを占めており、G7全体の労働年齢人口を上回っている。さらに、産業のスマート化や人工知能(AI)などの新技術により、中国は廉価な労働力に頼って稼ぐ時代とは別れを告げている。
もちろん、一国の発展は人口規模だけによるものではない。量的規模のほかに、質的素養も重要であり、人口数より、人的資源の質の方がより大切だ。経済学者は「教育を受ける年数」で人的資本を計る。中国の9億人近い労働年齢人口のうち、教育を受けた平均年数は10.9年で、大学などの高等教育を受けた労働者は2億4000万人もいる。しかも新規増加労働者の教育を受けた平均年数は14年に達している。また、中国では公共教育予算にGDPの4%以上を投入すると法的に決められている。世界の大手金融機関が今年の中国経済の成長見通しを5%以上に上方修正したことから、中国の公共教育予算は少なくとも年間4%以上の伸びが確保できる。教育発展レベルは人類の発展指数を計る重要な指標であり、中国人口の発展には将来性が期待できる。
次ぎに、西側メディアがかなり懸念している中国人口のマイナス成長と高齢化問題に迫ろう。確かに2022年、中国人口の自然成長率は1960年以来61年ぶりに初めてマイナス成長となった。しかし、同じく国連人口基金の報告によると、現在、全世界の大部分の国では出生率の低下が自然なプロセスになっており、中国が異例ということではない。また、人類社会発展の法則から見れば、国が豊かになればなるほど、人口規模はプラス成長‐停滞‐マイナス成長という変化にたどる。高齢化と言うなら、西側諸国は中国よりも自国の事情にもっと関心を寄せるべきだ。例えば、中国では2022年に65歳およびそれ以上の人口が全人口に占める割合(高齢化率)が14.9%に達したが、日本の場合は28~29%で、その深刻さは中国の倍以上だ。何といっても、少子化や高齢化などは日本や中国、世界中多くの国々が直面している共通の課題である。他人に泥を塗るより、地道に手を携えて共に対応すべきだ。
実際のところ、多くの中国人は西側の中国崩壊論に新鮮味を覚えない。彼らは前世紀には「人口が多ければ多いほど、国が貧しくなる」と中国にさんざん説教していたのに、今は、まさか中国の人口が減少し、高齢化しつつあることを憂慮し始めたのか。いずれにせよ、他人がなんと言おうと、自分の暮らしは自分で守るしかない。14億人超の人口を持つ大国として、中国は世界規模の市場に恵まれ、世界規模のイノベーションや起業活動に励んでいる。中央政府から各レベルの地方政府に至るまで、人口の変化に対応する国家戦略を積極的に実施し、関連した公共サービスを整え、国家福祉建設に拍車をかけ、安定した共同富裕を推し進めている。中国では人口ボーナスが失われるどころか、人材ボーナスに生まれ変わりつつあるのだ。(CMG日本語部論説員)