中国版「百人一首大会」 出稼ぎ農民が能力発揮

2023-04-14 11:47:27  CRI

 中国中央広播電視総台(チャイナ・メディア・グループ/CMG)は毎年、テレビ番組「中国詩詞大会」を開催しています。この大会は、出場者が古典詩関連の知識や理解を競う、さしずめ中国版の「百人一首大会」です。全国の様々な職種に従事する大勢の人々が参加しますが、最終的に上位に入るのは多くの場合、大学生や文学の専門家です。しかし2023年の大会は例年と異なり、甘粛省・静寧県出身の出稼ぎ労働者の朱彦軍さんが準優勝しました。

 今年50歳の朱さんは幼い頃から詩が好きで、出稼ぎ労働者として長年にわたり仕事をする一方で、詩を読み、覚えることを続けました。暮らしの半分は世俗の営みで、半分は詩趣に満ちたものだったわけです。長年の努力がついに報われ、2023年の中国詩詞大会に参加して入選したわけです。長年にわたり蓄積した知識が大会の現場で「炸裂」したことで、すべての視聴者が夢を追うこの出稼ぎ農民を記憶にとどめることになりました。

工事現場で仕事をする朱さん

 朱さんは古典詩を滔々(とうとう)と暗唱しますが、詩に関する本は「中華伝世古典文庫」セットしか持っていません。朱さんによると「このセットは全8冊で68元(約1300円)。思い切って買ったものだ。これまで買った本の中で最も高価だ」とのことです。朱さんは19歳で中学校を卒業して、故郷を離れて31年間働きました。これまでに、中国各地の十数都市で働いてきました。彼は常に詩と共にあり、最もつらい時期も詩と共に過ごしました。朱さんは「私は何年も詩を読んでいる。詩は最高の友で、私を最も理解してくれる知己だ」とも説明してくれました。

 朱さんの物語は家族だけでなく、素朴な村人をも感動させ、生まれ故郷の静寧県では詩のブームが巻き起っています。(Mou、鈴木)


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