【観察眼】長年積み重ねてきた国際的イメージを台無しにすべきではない

2023-04-13 17:44:10  CRI

 主要7カ国(G7)気候エネルギー環境相会合が4月15‐16日に北海道の札幌市で開かれる。関係者によると、日本政府は議長国として、福島原子力発電所の放射能汚染水海洋放出計画について「意思決定過程が透明」などとの文言を成果文書に盛り込むとしている。韓国の日刊新聞である「ハンギョレ」は、主要国の支持を得て同事件をめぐる国内外の否定的な世論を沈静化させる狙いがあると分析した。

 これに対し、日本の市民会議は4月1日、G7各国の環境相に「これ以上海を汚すな!」というタイトルの書簡を送った。書簡には「原発事故の被害者である、福島県の漁業者をはじめ、農林水産業者、観光業者、消費者団体、市町村議会、多くの県民そして全国の市民が反対をしています。また、近隣や環太平洋の国々からの懸念の声もあります。市民の反対の理由は、この『ALPS処理水』には、トリチウム以外の放射性物質が告示濃度限度を超えて含まれており、放出される放射性物質の核種ごとの総量が示されていないこと、総量に関する規制がないこと、また、市民が提案している代替案を議論しないことなどです。これらの懸念に対する明確な答えがないままに、海洋放出を決定することは極めて不透明なプロセスであり、民主的ではありません」と記されている。

 汚染水を海に放出するのは最善策ではない。日本政府は2013年以降、汚染水処理方式について、地層注入、海洋放出、蒸気放出、水素放出、地下埋設の5つの案を提示し、最終的に希釈して海に放出する案を選定した。国際環境NGOグリーンピース・ドイツの原子力問題研究者であるショーン・バーニー氏は2月初めのインタビューで、日本政府が他の処分案があることを知りながら、最終的に海に放出する案を選んだ理由について、「他の案に比べてコストが安いからだ」と述べた。

 汚染水処理のあり方に反対する声は、日本国内に限らない。国際社会はこの件について何度も懸念を表明しており、中国、韓国、太平洋島しょ国を含む多くの国が、関係各国が放出プログラムの安全性を確認できるまで、日本は汚染水を太平洋に放出する計画を実施すべきではないと考えている。

 太平洋諸島フォーラム(PIF)のプナ事務局長は「太平洋の人々は海に関わる人々だ。海は私たちの生活、文化にとって極めて重要であり、海を損なうことは重大な懸念事項である」と述べた。

 太平洋の島国フィジーのマノア・カミカミカ(Manoa Kamikamica)首相代行は3月3日、放射能汚染水海洋放出計画によりフィジーが厳戒態勢にあることを明らかにした。カミカミカ首相代行は「太平洋には多くの人々の生計がかかっており、太平洋の健全な生態環境はフィジーを含む多くの国にとって極めて重要だ。『多核種除去設備(ALPS)』で処理された汚染水がそれほど安全なら、日本はなぜそれを再利用したり、自国の製造業や農業に利用したりしないのだろうか」と疑問を投げかけた。

 このほど、韓国最大野党「共に民主党」に所属する国会議員団が日本を訪問し、日本社会に向けて、放射能汚染水の海洋放出を深く憂慮する立場を表明し、日本と全世界の人々に健康上の危害を及ぼすことになると指摘した。これに対し、中国外交部の汪文斌報道官は11日の記者会見で、放射能汚染水の海洋放出についてさらに言及し、日本側は環境汚染を回避するためにあらゆる措置を取るなど6つの義務を負うべきだと示した。

 日本政府は国内の人々や国際社会の声に真摯に耳を傾け、長年積み重ねてきた国際的なイメージを台無しにしないよう熟考してほしい。(CMG日本語部論説員)

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