在宅緩和ケアが持続的に増加 中国北京

2023-04-06 13:07:45  CRI

 北京市衛生健康委員会は4日に開いた緩和ケアサービスに関する記者会見で、北京市の緩和ケアの病床数が2020年末の64床から2022年末の650床に増えていることや、現在、持続可能な緩和ケアサービスのモデル構築を模索していることなどを明らかにしました。

 世界保健機関(WHO)は緩和ケアについて、痛みやその他の身体的・心理的・社会的・精神的な問題を早期に見出し的確に評価を行い対応し、苦痛を予防し和らげることを通して、生命を脅かす病に関連する問題に直面している患者とその家族のQOL(生活の質)を向上させるアプローチであると定義しており、その中核は「生命を肯定し、死にゆくことを自然な過程と捉える」ことです。

 北京市は2017年から病院で緩和ケアを試験的に実施しており、今では「在宅緩和ケア」まで広げています。今年2月に、末期の膀胱(ぼうこう)がんのため入院していた北京市民の梁さんの母親(79歳)が家に帰りたいと訴えました。梁さんは自分が住むコミュニティーに在宅緩和ケアのチームがあることを知り、すぐに母親を家に連れて帰ることにしました。 

梁さん宅で緩和ケアを行うコミュニティーのチームメンバー

 コミュニティーの衛生サービスセンターの緩和ケアチームは直ちに携帯電話で「Wechat(中国のメッセンジャーアプリ)」グループを作り、梁さんが母親と人生最後の時間を一緒に過ごすための支援策を固めました。

 在宅緩和ケアチームが3回目に訪問した時、母親はすでに喋れなくなっていました。チームは残る時間がわずかだと判断し、責任者が「この段階になれば、どうすれば母親が安らかに去ることができるかについて家族に伝えることが大切だ」と説明しました。

 その時、チームは痛みを和らげる薬を処方して、死の恐怖に直面する母親を助けたり、梁さんを慰めたりしました。その時の家族としては、医療上のアドバイスやケアのほか、対応の支援や慰めも必要です。数日後、母親は安らかに亡くなり、梁さんにチームから「悲しみは自然に耐えてゆくものだ。助けが必要な時、いつでも待っている」とのメッセージが送られました。

 北京市政府は2025年までに、全市で緩和ケアサービスを提供する病床数を1800床以上に増やし、コミュニティー衛生サービス機構が全般的にコミュニティーおよび在宅緩和ケアを提供するとの目標を打ち立てています。(閣、野谷)

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