中国 室温でも超高速伝導可能な水素陰イオン導電体を開発

2023-04-06 15:46:21  CRI

 中国科学院大連化学物理研究所の研究チームは、機械的応力を作用させて結晶構造を変化させるメカノケミストリーの手法によって、室温状態で超高速電気伝導を実現する水素陰イオン(水素化物イオン)導電体の開発に成功しました。リチウムイオン電池とは異なる新たな電池開発に利用され、エネルギーの保存と転換などに関する分野の技術革新につながるとみられています。研究成果は北京時間5日夜に国際的な学術誌『ネイチャー』に掲載されました。


水素陰イオンの導電率の比較図

 水素陰イオン導電体は充電池や燃料電池の開発などにおいて大きな将来性を持ち、クリーンエネルギー分野の研究開発の先端とされています。中国科学院大連化学物理研究所の研究チームは新たな素材の設計と開発方法を考案して、希土類元素の水素化合物である水素化ランタンの結晶格子構造の中に歪(ひず)みを発生させることにより、電子の伝導を強く抑制して、水素陰イオンによる高速電気伝導を実現しました。これまで水素陰イオン超高速電気伝導は摂氏300度前後の温度条件下でしか実現できませんでしたが、大連化学物理研究所の研究チームは氷点下40度から80度までの温度範囲で実現させたとのことです。

 同研究チームは現在、水素陰イオン電池の制作を試みており、その成果を踏まえ、性能がより優れた次世代の素材開発に取り組む予定です。(鵬、鈴木)

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