中国先進研究用原子炉実験プラットフォーム、世界に向けて研究課題を募集

2023-04-03 11:15:03  CRI

 中国核工業集団原子力科学研究院はこのほど、同院が開発した中国先進研究用原子炉(CARR)実験プラットフォームを全面的に対外開放し、全世界に向けて研究課題を募集すると発表しました。これまでに航空・宇宙、素材、石油などの科学技術の最先端分野にわたる40件以上の申し込みを受理したとのことです。

△北京郊外にある先進研究用原子炉

 CARRの完成は2010年でした。現在、この施設で進められている研究は、航空機エンジンのブレードや、高速鉄道の車輪に対する測定、さらには前漢時代(紀元前202年~8年)の文化財の研究にも使われています。原子力発電所が原子炉を利用して発電するのと違って、CARRでは原子炉で発生した中性子を科学研究に用います。

 原子力科学研究院のチームは中性子線による非破壊検査により、中国初の国産高速鉄道車輪の残留応力実験を行いました。従来は車輪の残留応力を測定するために切断法やX線検査がよく用いられました。車輪を切断すれば測定箇所の残留応力レベルを測定できますが、車輪は破壊されるので使えなくなります。X線検査では、表面のマイクロメートル(1マイクロメートル=1000分の1ミリ)単位の薄い層での残留応力しか測定できません。しかし、原子炉で発生する中性子線を利用すれば、車輪内部の金属疲労を発見し、事故を未然に防ぐことができます。

 中性子線は透過力が強いために、さらに広い範囲で、例えば文化財の「撮影」にも用いられ、専門家による的確な文化財修復に役立っています。北京大学考古文博学院は今後、CARRを利用して、「南海1号」沈没船に載せられていた鉄器や陶磁器の破片の中性子イメージングによる透過画像を得て、800年以上も海底に眠っていたこれらの器物のサビや腐食した箇所を調べて、文化財のより良い修復に活用するとのことです。(ZHL、鈴木)


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