中国のロック界の天才~ドウ・ウェイ

2023-03-28 17:10:02  CRI

 ロックといえば、欧米の定番ロックを思い浮かべる人も多いかもしれません。しかし、1980~90年代には、中国のポップス界からもロックに献身的な若者たちを輩出し、『無地自容(いたたまれない)』など人気ロック曲を生み出しました。今回の中国メロディーでは、「中国ロック界の天才」と呼ばれるドウ・ウェイ(窦唯)とその音楽作品をご紹介しましょう。

ヒット曲「無地自容(いたたまれない)」

 54歳のドウ・ウェイは北京の音楽一家に生まれ、幼少期から父親に伝統楽器の笛を習いました。1980年代、中国はまさに改革開放されたばかりで、欧米のポップスに夢中になっていたドウ・ウェイはギターやドラムなどを習い始め、高校を卒業せず、北京青年軽音楽楽団に加わりました。その後、バーやダンスホールを転々としながら、歌唱力に磨きをかけ、次第にポップス界でも名を知られるようになりました。1988年、黒豹楽隊にボーカルとして参加し、作詞・作曲も担当しました。才能豊かな彼はこの時期のバンドの魂ともいうべき存在でした。その間に作った曲「無地自容(いたたまれない)」「DontBreakMyHeart」で才能を発揮し、メロディー、歌詞ともに簡潔でありながら、観客の心に響く曲を作りました。当時、若くてハンサムだったドウ・ウェイは公演のたびに、観客たちから歓声と拍手を浴びていました。また、その感情豊かな歌声に、誰もが夢中になりました。

定番曲「别来纠缠我(俺に付きまとうな)」

 1990年、ドウ・ウェイは黒豹楽隊を率いて香港舞台にデビューすると、すぐさま香港ポップス界で注目を集める存在となりました。ドウ・ウェイの透き通る歌声と優れた表現力により、黒豹楽隊は海外中華圏音楽界で確固たる地位を築き、代表的なロックバンドとなりました。1992年には黒豹楽隊がデビューアルバム「黒豹」をリリースし、今でもそのアルバムは中国ロックの定番とされています。また、アルバム中の「别来纠缠我(俺に付きまとうな)」が、シングル曲として45万枚の売り上げを記録し、中国ロック史に残る記録を作りました。この曲では、エレキギターやドラムがパンチを効かせているだけでなく、歌声で生活態度を伝えているほか、わかりやすいメロディーで心の声を届けています。

初のソロアルバム『黒夢』

 1991年にドウ・ウェイは黒豹楽隊を脱退しました。黒豹楽隊を離れたばかりのドウ・ウェイはとても憂鬱で、将来の人生に迷いを感じていました。この時、初のソロアルバム『黒夢』を発売しましたが、このアルバムには、ドウ・ウェイの自己分析の思いが込められています。この頃から、ドウ・ウェイは反逆色を帯びたロック風の長い髪を切り、ステージ上ではこれまでのロックなアピールから一転して、内心を省みることにシフトします。しかし、彼の歌は今までの音楽と変わらず生命力に満ちていました。このアルバムは今も愛され、ロック界のレジェンドと呼ばれています。

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