『詩歌と絵画に見る中国』(後編)

2023-03-11 22:53:45  CRI

 「詩は無形の絵画であり、絵画は有形の詩である」と言われています。昨年夏から放送している中央広播電視総台(チャイナ・メディア・グループ/CMG)のシリーズ番組「詩画中国(詩歌と絵画に見る中国)」は詩歌、絵画、音楽などの芸術を融合させ、新たな視点から、中国の古典的な詩や絵画作品を鑑賞します。今回の中国メロディ―では引き続き「詩歌と絵画に見る中国)」の中から優れたパフォーマンスをご紹介しましょう。

『雁蕩山図』

 中国東部にある雁蕩山は中国の名山の一つで、主峰の葦が生える湖に南へ飛ぶ雁がよく生息することから「雁蕩」と呼ばれています。第9期の「詩歌と絵画に見る中国」の映像では、北京故宮博物院に所蔵されている明代の水墨画『雁蕩山図』の絵巻が展開されるとともに、水墨画の雁蕩山の美しい景色が徐々に画面に映し出されていきます。山の木々から渓流沿いの石まで生き生きとした姿が写し出されており、雁蕩山ならではの魅力を表現しています。

 続いて番組の映像が水墨画から現実の雁蕩山へと切り替わります。琵琶奏者の方錦龍は、岩の上に座り、流れ落ちる滝と緑の森を見上げながら、琵琶曲『雁蕩山図』を演奏し、美しい音楽で絵の中の雁蕩山を再現しました。水墨画に描かれた雁蕩山の美しさとそびえ立つ姿は、方錦龍さん演奏によって生き生きと表現されています。

『陶淵明詩意図』

 「菊を採る東籬のもと、悠然として南山を見る」は中国の六朝時代の詩人・陶淵明の『飲酒』の第五首に出てきます。まさに悠々自適で清らかな農村暮らしのイメージで、日本でもよく知られています。

 陶淵明を慕った清代の画家である石涛は、絵筆でこの詩の境地を描き、『陶淵明詩意図』という画集を作りました。絵の中では、陶淵明が愛した秋菊が庭に咲き誇っています。白いローブを身にまとった陶淵明は菊の花を手に南山を眺め、悠々自適の雰囲気を漂わせています。

 「詩歌と絵画に見る中国」の舞台では、歌手の呉トンさんが絵の中の陶淵明のローブを着て、のんびりと菊の花の茂みの中を歩き、ゆったりとした吟唱と伝統楽器・塤の音色で陶淵明の詩情の世界に引き入れてくれ、観客たちはまるで絵の中に描かれた美しい田園の境に身を置くかのような気分です。

『秋興八景図』

 第3期の「詩歌と絵画に見る中国」の舞台では、蘇州の民間芸能である評弾の名手・盛小云と若手歌手・イーサ・ユー(鬱可唯)がデュットした「秋興八景」が絶賛されました。

 上海博物館所蔵の明代画家・董其昌の着色画『秋興八景図』は江南地方の秋の風景を印象的に描いています。『秋興八景図』を背景にした舞台に、イーサ・ユーと盛小雲が船に乗って現れます。薄黄色のロングドレスを着たイーサ・ユーは船首に立ち、優しく甘い歌声で観客を絵のような江南水郷へと誘います。チャイナドレスを着た盛小云は船尾に座り、琵琶を弾きながら蘇州の民間芸能の評弾の節回しで美しい江南水郷の秋の趣を演出しました。絵画の巨匠である董其昌の『秋興八景図』の絵巻は、趣のある歌と相まって、中国的なロマンを感じさせてくれます。

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