拓殖大・田中修客員教授が政府活動報告を読み解く「日中経済交流の本格再開に期待」

2023-03-10 14:07:39  CRI

 向こう一年の中国経済の成長率目標や経済・社会発展の重要方針などが盛り込まれた2023年の政府活動報告が発表され、日本の学識者からも注目されています。拓殖大学大学院客員教授の田中修氏は9日に中央広播電視総台(チャイナ・メディア・グループ/CMG)のインタビューに対し、「中国の改革開放政策に変更はないことが確認できた」とし、「日本の経済界では、中国との本格的な経済交流の再開に期待が高まっている」と語りました。

拓殖大学大学院 田中修客員教授

 政府活動報告で発表された今年の経済成長目標が「5%前後」について、田中氏は「妥当な数値」とみています。「あまり高い目標を設定すると財政・金融政策へのプレッシャーが高まり、政府債務リスクや過剰流動性リスクを高めることから、5%は『適切な程度』だ」と話しました。

 2022年の中国経済の成長率は四半期ごとに大きな変動が見られました。23年の動向について田中氏は「中国は西側諸国と異なり、四半期の成長率は前年同期比で計算されるため、23年の成長率も四半期ごとに変動する可能性がある」と指摘しています。しかしそれは「経済が乱高下しているわけではない」と強調し、海外の観察者に対し、23年の中国経済の動向判断を見誤らないよう注意を促しました。

 政府活動報告で取り上げられた2023年の経済・社会発展に関わる重点的な取り組みの中で、田中氏が注目しているのは「内需拡大の消費主導での実施」と「重大な経済金融リスクの防止」です。特に、民間投資の誘致を重視している点から、政府の投資に依存していたこれまでの考え方を是正しようとする姿勢が見えたとし、優良なトップデベロッパーへの財務支援が明記されていることについては、「大局的観点からの判断」とポジティブに評価しました。

 また、政府活動報告の中の「開かれた中国の大市場は必ずや各国企業の中国での発展により多くのチャンスをもたらすだろう」という趣旨について田中氏は、「中国は、持続的発展のために外資の力がまだ必要だと考えている。現行の改革開放政策に変更はない」と読み解きました。それを踏まえて、「コロナ対策の緩和と日中平和友好条約締結45周年を契機に、中国との経済交流を本格的に再開する動きも出てくるだろう」と今後の二国間の経済往来を楽観する考えを示しました。  

 世界経済の見通しが相次いで引き下げられている中、田中氏は「現在、中国に期待される役割は、日本や韓国と共に東アジア全体の平和と安定発展をけん引していくことだ。それが世界経済への貢献にもなる」と期待を寄せています。(取材:王小燕、校正:梅田謙)

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