【CRI時評】放射能汚染水の海洋放出計画は日本の私事ではない

2023-02-28 11:42:08  CRI

 西村康稔経済産業相は25日、放射能汚染水の海洋放出計画を巡り、福島県いわき市で説明会を開催した。人々が計画に同意したかをどのような基準で判断するかという報道機関の質問に対し「特定の指標はない」と答え、世論は騒然となった。

 日本政府が2年前の4月、福島の放射能汚染水の海洋放出を23年春をめどに開始する方針を発表すると、国内外から疑問と反対の声が上がった。日本は22年7月、国際原子力機関(IAEA)の技術作業グループによる審査と評価が行われている中で、放射能汚染水の海洋放出計画を正式に認可した。今年1月には、IAEAの技術作業グループが審査のために訪日する直前に海洋放出の時期について「春から夏ごろを見込む」と一方的に示した。それ以来、放射能汚染水を貯蔵する大型タンクのコンクリート化など関連施設の建設を加速し、既成事実化しようとしている。これらは、関係する国際機関の権威を損なうだけでなく日本国民や国際社会に対しても極めて無責任な行為だ。

 韓国の海洋科学技術院と原子力研究院がこのほど発表した最新の研究結果によると、日本の東側に位置する福島沖から放出される放射能汚染水中のトリチウムは、強い黒潮海流によってほとんどが東に移動し、10年後に北太平洋全体に拡散する。国際的な環境保護団体グリーンピース日本事務所の原子力専門家、ショーン・バーニー氏は、福島の放射能汚染水にはトリチウム以外にも、半減期が5000年を超える炭素14など、福島原発の既存の技術では除去できない多くの放射性物質が含まれており、放射能汚染水の海洋放出を巡る日本政府の主張は信用できないと指摘している。IAEAの技術作業グループが昨年発表した評価報告書も、日本の海洋放出計画にはIAEAの安全基準に合致しない点があるとしている。

 先ごろ開催された太平洋諸島フォーラム(PIF)の非公式特別首脳会議でも、各国の指導者が日本の放射能汚染水海洋放出計画について改めて強烈な反対を表明し、同計画は日本の私事ではなく南太平洋の島国を含む世界に影響を及ぼす重要な事件だとの見方を示し、日本は科学とデータを同計画の指針とすべきだとした。

 日本政府は、こうした国内外からの疑問と反対の声に対し、悔い改めることを知らないばかりか、他国を味方に引き込んで是認させようとさえしている。共同通信の22日付報道によると、日本政府はある計画を推進中で、5月に開かれる先進7カ国首脳会議(G7サミット)の共同声明に「福島の放射能汚染水の海洋放出は人体と環境に影響がないだけでなく、透明性のある処理方式は歓迎に値する」との表現を盛り込もうとしている。日本の大手メディアはみな、それが「全く成り立たない」ものであることを認めており、共同通信も、放射能汚染水の海洋放出計画は中国や韓国などが懸念を示し、国内でも反対が強く、G7内部でも合意に達するのは困難で、最終的に書き込むのは厳しいとの見方が出ていると認めている。

 海洋は世界各国が生存し発展していくための基盤だ。国連海洋法条約の締約国である日本には、海洋環境を保護する責任と義務がある。日本が放射能汚染水の海洋放出に固執するなら、国際社会は法的手段を通じて共通の利益を守るために共同で行動するべきだ。全世界に尻拭いをさせようとする日本の信用はとっくに失われており、歴史的罪人に成り下がることになるだろう。(CRI論説員)

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