10万トン級グリーンメタノール製造プロジェクトが稼働開始=中国河南省

2023-02-23 15:24:52  CRI

 中国の自動車大手「吉利汽車(ジーリー)」を傘下に持つ「吉利控股集団(ジーリーホールディンググループ)」とエネルギー、貿易、物流などを手掛ける大手企業「河南省順成集団」の共同出資による、世界初の10万トン級グリーンメタノール製造プロジェクトが21日午前、中国中部の河南省安陽市で正式に稼働を開始しました。

 グリーンメタノールとは、温室効果ガスをほとんど排出しないプロセスで製造されたメタノールです。同プロジェクトの総投資額は8億元(約157億円)で、年間3億6000万ノルマルリューベ(空気量の単位で、大気圧、0℃の時の体積のこと)のコークス炉ガスを利用して、11万トンのメタノールと共に7万トンの液化天然ガスを製造することができ、年間の売上は5億6000万元(約110億円)に上る見通しです。また、メタノールの合成により年間16万トンの二酸化炭素の排出を抑えることができ、その効果は約1万700ヘクタールの植林に相当します。


河南省安陽市に設置されたグリーンメタノール工場

 メタノールは低炭素の含酸素燃料で、燃焼効率が高く、クリーンで保存や輸送も容易という特性があります。中国の石油自給率は30%未満のため、今後は風力エネルギーや太陽光エネルギーを利用したグリーンメタノール合成という製法にも大きな将来性があるとみられています。

 フォーチュン500企業の一つでもある「吉利控股集団」の李書福会長は、同社がメタノール自動車の分野で既に18年の取り組み実績があり、多くの難題を乗り越えて欧州で実証実験を行っていることを明らかにし、「今後メタノールを燃料とする商用車が増えていけば、輸送コストの削減とともに二酸化炭素の回収もでき、一石二鳥だ」と語っています。

 プロジェクトの稼働が始まった21日には、同社の長距離大型トラック300台が物流車両として運用を開始しました。これらのトラックは安陽市の工場で製造されたグリーンメタノールを燃料とすることで、年間約3000万元(約6億円)の燃料費の節約が見込まれると共に、1万5000トンの軽油の使用と4万5000トンの炭素の排出を回避することができるということです。(鵬、坂下)

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