【CRI時評】米貨物列車脱線事故が米政治家の「人権のベール」を剥ぐ

2023-02-15 10:09:14  CRI

 頭痛、吐き気、目の灼熱(しゃくねつ)感……。有毒ガス漏れで汚染された環境で人々は苦しみ、多くの動物の死体があちこちで発見された。これは災害映画ではない。米オハイオ州にある小さな町のイーストパレスタインで起きたことだ。
 イーストパレスタインで3日、列車が脱線して炎上した。米メディアによると、貨物列車の約50両が脱線し、有毒な化学物質を積載した10両のうち塩化ビニルを積載した5両が爆発の危険があるため、地元当局は6日、有毒ガスを抜いて燃焼させる作業を行うことを決定し、周辺数キロ内の住民を緊急避難させた。それから3日後、地元政府は住民に帰宅可能であることを伝え、脱線した列車による汚染はなかったと発表した。
 現在、帰宅した住民の一部にさまざまな症状が現れ、周辺の動物たちにもせきや下痢、流涙、食欲不振などの中毒症状が現れている。人々が最も知りたいのは、列車脱線事故でどれほどの環境被害が引き起こされたのか、米政府と事故を起こした鉄道会社はどのような対策を講じるのかということだが、現時点での処理や対応は人々を失望させている。
 事故を起こした列車が所属するノーフォーク・サザン社の発表によると、積載されていた有毒化学物質は塩化ビニルだけでなく、2-ブトキシエタノールやアクリル酸イソオクチル、イソブテンなども含まれていた。しかし米政府当局はこれまでのところ、有毒化学物質の具体的な放出量について公表していない。
 実はこのノーフォーク・サザン社はいわく付きの会社で、米メディアによると、オバマ政権期から、数十億ドルを投じて自社株買いを行い、従業員を大量解雇し、3人の大統領に安全規制の緩和を働きかけ、列車への電子制御空気(ECP)ブレーキの装備を拒むなど、利益の最大化とコストの削減に注力してきた。英紙ガーディアンは、「米鉄道業界は長い間、安全よりも利益を優先し、今回の事故で業界の監督・管理の不備という弊害が露呈した」と指摘している。
 予測不可能なリスクに直面したイーストパレスタインの住民の一部は、故郷を離れる選択を余儀なくされた。「利益追求」が米国社会に頻繁に混乱を引き起こし、政治的道徳の欠如がこの国を暗然とさせている。誰が米国の庶民の命を守り、誰が庶民の健康と利益を守るのか。口を全開にして「人権」を叫ぶ米政治家は知らぬふりをしてはならない。(CRI論説員)


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