【CRI時評】トルコ・シリア大地震、米国は制裁の「こん棒」を捨てるべき

2023-02-09 13:07:31  CRI

 トルコ南東部のシリアとの国境に近い地域で6日、マグニチュード7.8規模の大きな地震が2度にわたって発生した。シリア保健省によると、政府の支配地域でこれまでに1250人が死亡、2054人が負傷した。アレッポ州の州都アレッポ市だけでも建物約50棟が倒壊し、死傷者数はさらに増える可能性がある。

 戦争によって踏みにじられ、人道危機に直面しているシリアの人々にとって、今回の大地震は追い打ちをかけるものだ。地震後の救援には一刻の猶予もなく「時は命なり」だが、シリアは多重の困難に直面している。

 シリア外務省によると、米国など西側諸国による長期の制裁で、シリア国内では救援に必要な設備が不足し、救助隊は作業に2倍の時間を要し、民衆は素手でがれきを掘ることを余儀なくされている。米ワシントンを拠点とするシンクタンク「中東研究所」の研究員、エマ・ビールス氏によると、シリアへの道路は破壊がひどいため救援物資の輸送に遅れが生じている。シリア赤新月社のハレド・ハブバティ代表は会見で「封鎖と制裁のため、(援助と救援の)車両でさえ燃料がない状態だ」と述べた。

 厳しい寒さの中で帰る家を失った人々。がれきの下から聞こえる絶望の泣き叫び。国際社会の呼びかけ。これらをもってしても、米国の良心を呼び起こすことはできないようだ。米国務省のネッド・プライス報道官によると、米国は「現地の人道パートナー」を通じて援助するだけで、アサド政権との接触は拒んだ。

 シリアに対してだけではない。米国は過去数十年、覇権を維持するために「制裁」中毒になり、苦痛を受ける中東などの国々に対しては同情のかけらもない。イランとシリアで新型コロナが流行した際も、米国政府は一方的制裁を固持し、医師不足・薬不足に苦しむ多くの人々のことを少しも気にかけなかった。アフガニスタン再建が資金不足に直面した際も、米国はアフガニスタン中央銀行の米国内にある資産70億ドルを凍結し、その半分を米同時多発テロの犠牲者遺族に対する補償のために使おうとした。世界で最も裕福な国が最も貧しい国から強奪し、がれきの下で絶望する中東の人々が貴重な救援時間を失うのを黙って見ているだけで、これが米国の言う「中東の人々と同じ側に立つ」なのだろうか。

 シリアの被災地で救出された生まれて間もない女の赤ちゃんの動画がこの2日間、SNS上で話題となった。発見された時、赤ちゃんのへその緒は母親とつながったままだったが、両親はすでに死亡していた。人々はその奇跡的な生還に感動すると同時に、生まれてすぐに孤児となってしまった赤ちゃんの境遇を嘆き悲しんだ。この大惨事を受け、口先で「人権」や「人道」を唱える米国の政治家に望むのは、中東の人々への同情と支持を実際の行動で示し、シリアに対する一方的制裁を直ちに解除し、人道支援の扉を開けることであり、天災を人災に変えてはならない。(CRI論説員)


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