中国人科学者がアルツハイマー病分野で重要な発見、記憶衰退を引き起こす可能性のある「引き金」見つけ出す

2023-02-07 10:58:11  CRI

 中国東部の浙江省杭州市にある西湖大学の施一公氏が率いる研究チームはこのほど、アルツハイマー病分野で重要な発見をし、記憶の衰退を引き起こす可能性のある「引き金」を見つけ出しました。アルツハイマー病の発症メカニズムを理解し的確な薬物投与を行う上で重要な意義があります。関連する研究論文がこのほど、学術誌『セル・リサーチ』(電子版)に掲載されました。

△健常者(左)とアルツハイマー病患者(右)の脳の比較 

 アポリポタンパク質E4(APOE4)はアルツハイマー病の最大のリスク因子として知られています。APOEタンパク質は人体のアポリポタンパク質の一種で、リポタンパク質の転化や代謝に関与します。APOEには、APOE2、APOE3、APOE4という主要な三つのアイソフォームが存在します。研究によりますと、APOE2保有者はアルツハイマー病にかかりにくいのに対し、APOE4保有者は罹患リスクが倍増します。そのため、APOE4受容体を見つけることがアルツハイマー病を解明する鍵となる可能性があります。 

 これまでの研究では、ミクログリアによるシナプス刈り込みがアルツハイマー病患者の中で異常に活性化され、記憶喪失につながることが分かっていました。一方、ミクログリアが機能するかどうかは、LilrBタンパク質と関係している可能性があります。APOEタンパク質とLilrBタンパク質の間には何らかの関連性があるのでしょうか。これがアルツハイマー病の発症メカニズムを解明する重要な手がかりになるかもしれません。 

 研究チームによる一連の実験の結果、APOE4はLilrB3と結合可能で、APOE3は結合が弱く、APOE2はほぼ結合できないことが分かりました。さらに、APOE4がLilrB3と結合することでミクログリアが「目覚める」、すなわち結合後にミクログリアが活性化することも確認されました。 

 論文の共同筆頭著者である西湖大学生命科学学院の周家耀ポストドクターによりますと、この研究はアルツハイマー病患者の記憶衰退メカニズムを突き止め、人類のアルツハイマー病対策に一筋の光をもたらすものです。研究チームは今後も引き続き、この研究成果を踏まえてアルツハイマー病の関連研究を行うとともに、アルツハイマー病を治療するための薬物研究にも乗り出すということです。(ZHL、柳川)

 


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