2月7日 火曜日

2023-02-07 23:16:45  CRI

 今週の火曜ハイウェイ。特別ルポ「新時代の中国農民工」と題して、都市部で家政婦をしている、ある出稼ぎ労働者の事例をご紹介します。


2月6日に中国北東部の遼寧省から北京へ向かうマイカーの車窓からの風景(撮影:斉鵬)

2023年2月<今月の特別寄稿>
東京都 イタズラ爺さん・奥田正彦さん(87歳)

 この詩は中国よりも日本でのほうがよく知られていると聞きました。そのわけは、たぶん清少納言の「香炉峰の雪」のエピソードにあるのではないでしょうか。印文は「撥簾看雪(簾をかかげて雪を看る)」にしました。 

香炉峰下新卜山居草堂初成偶題東壁
(中唐)白居易

日高睡足猶慵起 小閣重衾不怕寒
遺愛寺鐘欹枕聴 香炉峰雪撥簾看
匡廬便是逃名地 司馬仍為送老官
心泰身寧是帰処 故郷何独在長安

香炉峰下 新たに山居を卜し 草堂初めて成り 偶東壁に題す
白居易

日高く睡り足りて猶お起くるに慵(ものう)し
小閣に衾(しとね)を重ねて寒を怕れず
遺愛寺の鐘は枕を欹(そばだ)てて聴き

香炉峰の雪は簾を撥げて看る
匡廬(きょうろ)は便ち是れ名を逃るるの地
司馬は仍(な)お老(おい)を送る官たり
心泰(やす)く身寧(やす)きは是れ帰する処
故郷何ぞ独り長安に在るのみならんや

 【詩の内容】日は高く昇り、寝足りていながらなお起きるのはものうい。小さな二階建ての草堂で布団を重ねて寝ているので少しも寒くはない。遺愛寺の鐘は枕をそばだてて聞き、香炉峰の雪はすだれをまきあげて看る。廬山は隠遁にはふさわしい地だ。司馬という役職もまた老人用の閑職だ。心身ともにやすらかに過ごせるところこそ己が帰るべき場所、長安の都だけがふるさとではない。

 白居易が「香炉峰の雪」の詩を詠んだのは817年。彼が編んだ『白氏文集』は、彼の生前から日本にも伝わり、平安貴族たちの必読書となっていきました。

 「香炉峰の雪」のエピソードとは、清少納言『枕草子』第280段(299段とも)「雪のいと高う降りたるを」にあります。
 ある寒い日(994年冬といわれる)のできごと、この日は雪が降り積もり、外は一面の銀世界。中宮定子にお仕えする女房たちは、御格子を下したまま火鉢を囲み談笑していました。
 中宮定子は「少納言よ、香炉峰の雪はどんなでしょう?」と清少納言に問いかけました。清少納言は女房たちに、閉め切った御格子を上げさせ御簾をかかげさせます。すると定子の目に飛び込んできたのは、あたり一面真っ白な雪景色。つまり清少納言は「香炉峰の雪は簾をかかげて看る」という白居易の漢詩を、定子の目の前に再現してみせたのです。
 定子の意図を瞬時に汲み取り、機転を利かせた清少納言。そんな彼女の機転にご満悦な定子。これが『枕草子』を代表するエピソード「香炉峰の雪」です。自来「香炉峰の雪は簾を撥げて看る」は、女性が機知に富んでいることのたとえとされています。

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