【観察眼】中米両国が2025年に戦争?“ミニハン氏”らの真意とは

2023-01-31 19:58:45  CRI

 米国営放送NBCによると、米空軍航空機動軍団司令官のマイク・ミニハン(Mike Minihan)大将は先日、部下に送ったメモの中で、米中両国が2025年に軍事衝突を起こすと予測しているとし、部下に戦闘準備を行うよう求めたことが明らかになった。

 これについて、米下院外交委員会の新委員長を務める共和党のマイケル・マッコール(Michael McCaul)下院議員はインタビューを受けた際、ミニハン氏の言うことは正しいと思うとした上で、米中間で2024年前後に戦闘が起きる可能性があるとの認識を示した。

 米軍と政界はこの2人の意見に反論した。米国防総省のある高官は匿名で、「ミニハン氏の発言はペンタゴンを代表するものではない」と述べた。米下院軍事委員会の前委員長である民主党のアダム・スミス(Adam Smith)下院議員も、「ミニハン氏およびマッコール氏による臆測には同意せず、米中が開戦する可能性は極めて低い」との見方を示した。

 ミニハン氏とマッコール氏の発言は米国の公式な立場を示すものではないが、彼らの発言は米国の好戦的思考と、米国の外交政策と軍事戦略に影響を与えようとする好戦者の野望を再び世界に露呈したものとなった。その背後には、巨大な政治的・経済的利益が隠されている。

 まず、ミニハン氏が挙げた、いわゆる「米中戦争が起きる根拠」を見てみよう。それは、中国台湾地区と米国の双方で2024年に選挙が行われるが、それに米国が気をとられているうちに、中国が台湾地区に対して行動を起こす機会を得るという考えである。これはまたも繰り返される中国の内政への露骨な干渉にほかならない。世界における自国の覇権を守るため、また中国の台頭を抑制するために、米国はさまざまな口実ばかり作っては中国の内政に干渉し、「台湾独立」勢力に誤ったシグナルを送り続け、さらには公然と台湾を米国の安全保障システムに組み入れている。そういった事実を無視し、ミニハン氏らは地域情勢の緊張の原因を中国のせいにしており、これは白黒を逆転させた明らかな挑発行為である。それよりもミニハン氏らが認めるべきことは、台湾問題は中国の内政であり、米国が干渉する権利はないということである。

 米国の対中挑発は口先だけにとどまらず、中国に対する軍事行動も展開され続けている。今月26日、グアムで米軍の新基地が利用開始となった。これは、約70年ぶりに米国が新たに建設した海兵隊基地でもある。同基地は米軍が今後、この地域での兵力配備をさらに拡大する上で有利となる。また、先の中国の春節(旧正月)連休中、米軍は多数の偵察機を出動させ、南海と東海で対中接近偵察を行った。空母ニミッツを含む米海軍の複数の艦船も最近、南海で頻繁に活動している。

 米メディアの報道によると、ブリンケン米国務長官は2月初めに訪中するという。このことを考えると、最近エスカレートしている米国の対中挑発は、一方では中国に圧力をかけ、米国の抑止力を誇示しながら、もう一方ではブリンケン氏の訪中に弾みをつけるためのものでもあるだろう。また、米軍内では、各軍の間で戦争の脅威を誇張することで資源を有利に獲得することが常態化しているため、ミニハン氏の今回の発言にその意図もあることは排除できるものではない。

 今回のミニハン氏らの発言について、中国のネットユーザーの中では、「米国は世界を戦乱に陥れ、そこから利益を得ようとしている」「軍需産業は米経済の柱になっている」と指摘する声が多い。米国が発表した一連のデータも、中国のネットユーザーの見解を裏付けるものとなった。米国務省の発表によると、2022会計年度の米国の海外向けの兵器売却額は約519億ドルに上り、前年度から5割近く急増している。また、2022年はウクライナ危機を受けた北大西洋条約機構(NATO)加盟国による大量の兵器備蓄により、米国がNATOの同盟国に売却した兵器の数と販売額は2021年に比べてほぼ倍増している。

 米国では政治家や軍が対外的に挑発し、金を稼ぐ一方で、人々の暮らしは悪化の一途をたどっている。米国のウェブサイト「銃暴力アーカイブ」によると、全米では今年に入り大規模な銃乱射事件は1月29日現在で49件発生しており、それまで最多だった昨年1月の34件から更新した。米国での大規模な銃乱射事件の年間発生件数は2020年から3年連続で600件を超え、1日平均で約110人が銃で死亡している。同時に、高失業率、高インフレ率、そして長引く景気低迷で、米国民の間には将来に対する悲観的な見方が広がっている。

 米国は虚勢を張って「開戦」と騒ぎ立てるよりも、ミニハン氏のような好戦者をしっかりと押さえつけ、戦争状態に近いほど混乱し低迷している自国の経済状況と社会秩序を管理することに専念すべきではないだろうか。(CMG日本語部論説員)

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