【観察眼】陣営対立への加担は日本に国際的信用をもたらさぬ

2023-01-19 16:37:08  CRI

 1月3日から、日本は国連安保理の新しい非常任理事国の一つに選ばれ、当月の議長国でもある。続いて5月には、広島で主要7か国(G7)サミットが開催される。国際舞台で活躍し、平和維持に向けた協調能力が試されている日本。その一方で、岸田首相の舵取りで、戦後最大の安全保障政策の見直しを行い、米国が唱える「民主主義対権威主義の対立構造」に乗り出し、日本は周辺国や世界から警戒されている。はたして、この先の日本外交の行方はどうなっていくのか。世界が注目している。

 年明けの岸田首相の欧米歴訪は、昨年末に閣議決定された新しい国家安全戦略の運用に向け、関係国の支持と承認を取り入れるための訪問であったと言える。岸田氏は行った先々で、「ウクライナは明日の東アジアかもしれない」と話し、「中国の脅威」に共同して対処するよう煽り立て、北大西洋条約機構(NATO)をアジア太平洋地域に引き込もうとさえしている。

 岸田内閣が昨年末に採択した安保3文書では、中国を「これまでにない最大の戦略的な挑戦」という厳しい表現で位置付けた。また、中国に対応するため、防衛費をGDPの2%に倍増し、戦後最大の軍備計画を打ち出している。中には、射程を1千キロ超に延ばす地対艦誘導弾や、米国製の巡航ミサイル「トマホーク」の配備など、遠方から攻撃する「スタンドオフ防衛能力」を整備し、「専守防衛」の理念の変質をむき出しにしている。

 一方、こうした日本の安保3文書は遡ってみれば、米国がその2か月前に発表した「国家安全保障戦略2022」と呼応した形になっている。米国は、中国を「国際秩序を再構築する思惑と、それを実現する経済・外交・技術力を併せ持つ唯一の競争相手」と位置づけ、NATOやG7を中心にとした「パートナーや同盟国との協力」により、「統合抑止」の確立を目指すとしている。

 2023年度の日本外務省の年度予算案には、「同志国の安全保障能力強化の支援」という新規案件が初めて盛り込まれている。使途として、同志国の軍などへの装備品の提供やインフラ整備などとしている。

 さて、「同志国」とは具体的にどういった国々を指すのか?記者からの質問に対し、林芳正外相は「ある外交課題において、目的を共にする国を指す」と答え、該当する国については、「それぞれの外交課題について、個別に判断する」と言葉を濁した。最も、日本の国家安全保障戦略における同志国の位置づけは、「中国のもたらす挑戦は、我が国の総合的な国力と同盟国・同志国との連携により対応するべきもの」と明確な言葉で示されている。日本は、米国が陣営対立を掲げた「自由で開かれたインド太平洋」に向け、機動的な体制を整備する意志があることを示している。

 ここで、日本にぜひ忘れないでほしいことがある。それは、日本が戦後に獲得した国際的信用という無形資産は、決して軍備拡張から来たものではなく、平和的発展の賜物であったということだ。陣営対立に向けた外国軍への支援では、日本に平和と安寧をもたらすことはできず、国際的信用などソフトパワーの向上にもつながらない。

 岸田氏は先日、米ジョンズ・ホプキンス大学での講演で、「外交には裏付けとなる防衛力が必要であり、防衛力の強化は外交における説得力にもつながる」とまで明言し、どこまでも軍備の増強を前面に出している。

 一方、歴史を振り返れば、44年前、自民党岸田派の源流である宏池会を率いた、時の首相大平正芳氏が掲げていたのは「総合安全保障」構想だった。国家の安全保障は軍事力のみでは達成できず、外交や経済など「非軍事」も総動員して国の平和と安定を図ろうという考えだった。日本の政治家で、実業家の宇都宮徳馬氏は東西冷戦の真っ最中に、「日中友好は最大の安全保障である」という名言を残し、隣国関係の要諦を明快に語った。

 世界はもともと多元的である。大平氏は首相在任中、対中ODAの一環として、円借款と技術協力の提供を表明し、中国の改革開放を後押しした。その後の中日両国は冷戦という世界情勢の下で、政治制度やイデオロギーの違いを乗り越え、友好的に付き合い、互恵ウィンウィンの関係を築いて、地域ひいては世界の平和と発展にも貢献してきた。

 「民主主義対権威主義の対決」という二元論的な思考で陣営対立を煽るという考えは、歴史の流れに逆らうものであり、現在のグローバル安全保障や持続的発展にも有効ではない。おまけに、自身を安全保障の危機に陥れるリスクさえある。

 国連安保理非常任理事国として、またアジアに位置するG7のメンバーとして、日本にぜひ忘れないでほしい。陣営の対立への加担は、日本に国際的信用をもたらさぬということを。(CMG日本語部論説員)

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