【CRI時評】太平洋諸国は損害賠償請求の権利あり――日本による核汚染水の海洋排出

2023-01-04 16:07:56  CRI

 日本政府は2021年4月、2023年春から福島の核汚染水を海洋放出する計画を発表した。汚染物質の海への排出日が近づくにつれ、国際社会では反対の声がますます強まっている。

 福島原発は最悪レベルの原発事故を起こした。貯蔵されている汚染水は現在までに130万トンを超えた。日本の政治家は、汚染水は多核種処理システム(ALPS)で浄化すれば、安全で「飲むことができる」と言っているが、事実は全くそうではない。

 日本の非営利団体である「原子力資料情報室」が発表した文書によれば、汚染水は処理後も放射性トリチウムなど64種類の放射性物質を含んでおり、海に放出されれば海洋環境が放射性物質で汚染される。放射性物質は食物連鎖を通じて生物体内に濃縮され、最終的に人体の健康と生態環境に悪影響を及ぼす。

 国際的な環境保護団体の「グリーンピース」が発表したリポートによれば、日本が現在採用している技術では汚染水に含まれるストロンチウム90と炭素14を処理できない。この2種類の放射性元素の半減期はそれぞれ50年と5730年であり、放射性トリチウムよりも大きな危害をもたらす。

 日本は「国連海洋法条約」、「原子力事故早期通報条約」、「原子力安全条約」など、多くの国際条約の締結国だ。「国連海洋法条約」は、各国には海洋環境の保護保全の義務があり、国際法にのっとって責任を負わねばならず、「損害や危険を移転してはならない」と定めている。安全な処理の手立てを尽くさず、情報を全面的には公開せず、周辺国や国際機関と十分な協議もせず、一方的に汚染物を海に排出することを決定し、損害を他の太平洋諸国に移転させるならば、違約の代償を支払わなければならない。

 20世紀初頭には、カナダのトレイル製錬所から排出された二酸化硫黄が米ワシントン州に被害を与える問題が発生した。国際合同委員会(IJC)は1938年から1941年にかけて、カナダ側が米ワシントン州に損害を与えたことを認める判断を示し、カナダ側に対して米国側への賠償を求めた。この「トレイル製錬所仲裁」は、国境を越えた汚染行為を行った国の責任を追及する国際法の根拠と広くみなされている。太平洋沿岸諸国は同件を参考に、自国の被害状況を科学的に計測した上で、日本を相手に責任を追及することができる。(CRI論説員)

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