北京
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2022年12月26日 北京西三環路の朝のラッシュアワー
週明けの北京市街地では、朝晩のラッシュアワーの車の渋滞が戻りつつあり、活気あふれる北京が復活の兆しをみせている。首都北京と中国全体は、オミクロン株感染の試練にさらされてきた。しかし、新しい年、中国経済は引き続き成長を維持するだろう。今、中国で起きている様々な動きから、その十分な理由がみてとれる。
2022年の中国経済は、内外の複雑な要因の影響から、年初の数値目標の達成には至らなかった。しかし、その中でも、将来の経済成長につながる構造的指標に、優れたパフォーマンスが見られたことに注目したい。たとえば、中国の経済規模は120兆元を超える見込みとなり、貧困から脱却した県における1人当たり可処分所得の実質的成長は全国平均を上回った。また、新エネルギー車の生産販売台数と輸出台数は世界トップを維持し、食糧生産は8年連続で6500億キロ以上を保っている。国際収支状況は良好で、外貨準備高は3兆ドル以上を維持する見通しとなった。
これらは、いずれも中国経済の強じん性と潜在力を示す数値であり、中国経済の長期的に好調なファンダメンタルズは変わらず、経済成長を下支えする経済要素が健在であることを物語っている。
世界が2023年の中国経済に期待している。国際通貨基金(IMF)が2022年10月に発表した『世界経済見通し』では、2023年の世界経済活動はさらに鈍化し、成長率はわずか2.7%に止まるとしている中、中国経済については世界平均を大きく上回る4.4%の成長予想を出している。
ここのところ、複数の外資系機関は相次いで2023年の中国経済成長率の見通しを引き上げる動きをみせている。ゴールドマン・サックス・グループはそれまでの4.5%から5.2%に、UBSグループは4.5%から4.9%に上方修正した。大和総研は中国の実質GDP成長率の予測を4.5%程度としているが、コロナ対策の効果により、過去3年分のリベンジ消費を牽引役に6%超の実質成長も期待できるとの予測も出している。
諸外国の対中直接投資の動向にも増加が見られている。中国商務部によると、今年1-11月の実行ベースの外資利用額は前年同期比9.9%増の1兆1561億元で、米ドル建てでは12.2%増の1780.8億ドルに相当する。中でもハイテク産業に限れば伸び率は31.1%にも達する。
コロナ禍の逆境の中、なぜ今、中国経済に高い期待が寄せられているのだろうか。
世界銀行駐中国代表処のシニアエコノミストを歴任し、現在はジョージ・ワシントン大学経済学准教授を務めるアルバート・ケイデル氏は先日の新華社の取材で、その分析を示した。ケイデル氏は、中国の過去3年間の感染症対策は、感染症が労働力供給に及ぼす影響を最小限に抑え、経済成長の土台を固めたと指摘した。さらに、「ハイテク、デジタルエコノミー、電子商取引などは力強い成長を続け、コロナ禍の中国経済の中で新たなハイライトを作り出した。今年の重要な経済指標もこれを証明している」との見方を示した。そのうえで、海外からの対中直接投資の大幅な増加は、「世界の投資家が中国経済を楽観視していることの表れ」としている。
外資のみならず、国内の民営経済の健闘ぶりも注目に値する。データによると、中国では民間企業が全体の96%を占め、民間上場企業数の割合は全体の3分の2を超え、ここ数年の新規上場企業のうち民間企業が占める割合は8割以上となった。また、今年1-11月、民間企業による輸出入は中国の対外貿易総額の約半分を支えている。
中国共産党第20回全国代表大会では「国有資本と国有企業を強く、優れたものにし、さらに大きくするよう推進する」と打ち出し、同時に、「民営経済の発展と拡大を促進する」ことを強調した。先日開かれた中央経済活動会議でも、公有制経済と非公有制経済の発展を共に後押しする方針が明確に打ち出されている。
2023年の中国経済について、ケイデル氏は「堅調を保ち、世界のハイライトとなり、世界のニーズに一つの支えを提供するだろう」と楽観視している。一方、中国政府の経済政策を主管する中央財経委員会弁公室の韓文秀副主任は、「感染症対策の適正化は短期的には経済運営に不確実性をもたらす面があるものの、通年ベースでみれば、大きな明るい材料になる。来年上期、特に第2四半期には経済社会活動の回復が加速し、経済の活力もどんどん増していくだろう」との見通しを出している。
新しい年、中国経済が内外の期待に応え、健気に前進を続けていくことが期待されている。(CMG日本語部論説員)