命を懸けて歌う歌手ベラ・ヤオー(後編)

2022-11-27 14:37:07  CRI

 先週の中国メロディーでは、中国の人気歌手ベラ・ヤオーがガンと戦いながらも、音楽の夢を開花させていたことを紹介しましたが、今週も引き続きベラ・ヤオーとその音楽作品についてお話ししましょう。

淡々とした沈黙よりも、壮絶な輝きを

 2014年4月に乳がんの再発が判明してから、ベラ・ヤオーは化学療法を拒否し、保守的な治療をしながら仕事を続けていました。最期は、病床で死を待つのではなく、ハードな仕事と演出に打ち込み、最期の命を華やかに咲かせました。自身の代表曲『心火(炎に立ち向かう心)』で歌った歌詞のように、「淡々とした沈黙よりも、壮絶な輝きを」放ちたかったのでしょう。両親や治療に携わった医師、看護師は、彼女のこのような自己を燃やすやり方に、心を痛めて心配しましたが、最後の願いを尊重することこそが最高の愛であると信じていました。

明日の太陽を見てほしい

 2015年1月16日、若手歌手ベラ・ヤオーは穏やかにこの世に別れを告げました。亡くなるまで落ち着いていて、最期のその時も両親に、「私は元気だから、お父さん、お母さん、悲しまないで」と言っていました。ベラ・ヤオーが最期に残した遺言によると、彼女が亡くなった後、2人の若い患者に眼角膜を提供したいということでした。彼女は若い2人に明日の太陽を見てほしいと願ったと言います。

時空を超えたデュエット

 4年後の2019年、オーディション番組「シンガー」のファイナルステージが湖南省長沙市で行われました。これはベラ・ヤオーが生前から行きたいと願っていた舞台でもあります。この年、56歳の実力派歌手リウ・ファンが、当初から当年度のチャンピオンに選ばれるとの声がかなり出ていました。彼がファイナルのステージ中央に立つと、その魅力的なテノールの力強い歌声を観客全員が望んでいました。しかし、そこに聞こえて来たのはリウ・ファンの教え子であるベラ・ヤオーの優しく澄んだ歌声でした。

 ベラ・ヤオーががんのため33歳の若さで亡くなってから4年、師匠のリウ・ファンは彼女の歌声と掛け合う独特のスタイルで、愛弟子のベラ・ヤオーと時を超えてコラボしたのです。2人の魅力的なその歌声は多くの人の心を揺さぶりました。歌い終えたリウ・ファンは、「ベラ・ヤオーを『シンガー』の決勝の舞台に連れて行きたい一心だった。今日、生前の彼女の願いはついに叶った」と涙声で語りました。

 この時空を超えたデュエットを聞いて、ネット上には「懐かしい。聞いているうちに泣けてきた。最高のデュエットだ。優勝はこの2人しかいない」といったコメントが寄せられました。

番組の中でお送りした曲

1曲目 心火(炎に立ち向かう心)

 病魔と戦うベラ・ヤオーの心を歌いました。

歌詞:

悪魔と何回か戦ったことがある

残された日々が短いからこそ

本当になりたい自分とは何かを知った

心で立ち向かい 炎を乗り越えて

怖いけれど後には引けない

私を死に誘うすべての力は

ただ私の闘志をかき立てるだけ 

2曲目 也許明天(もしかしたら)

 ベラ・ヤオ-の生活と愛への思いが込められています。

歌詞:

見渡す限りの海 終わりが見えない

波の中の私 恋は浮いたり沈んだり

一日また一日 私を前へと運ぶ

もしかしたら明日 貴方も私と一緒に

潮の満ち引きを見ることができるかもしれない

3曲目 「宮廷の諍い女」の挿入歌

 ベラ・ヤオーと師匠のリウ・ファンがデュエットした曲です。

歌詞:

きれいな着物にこだわらないで

若さを大切にして

花が折れるならすぐに折って

散って花のない枝を折らないように 

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