北京
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社会人となった蘇明娟さん
約30年前、「私は学校へ行きたい」をテーマにした写真が注目されました。写真の中の少女の「大きな瞳」はとても印象的で多くの国民の心を打ち、「希望工程」(貧困地区の子どもたちに教育支援をする社会福祉活動)のPR写真に選ばれました。それから30年を経て、「大きな瞳」の少女だった蘇明娟さんは、中国共産党第20回党大会の代表になりました。
1991年、中国東部の内陸省である安徽省の六安市金寨県。カメラマンによって構図に収められた一心不乱に知識を求める少女の眼差し。写真が掲載されると、多くの人が小学生だった蘇明娟さんに支援の手を差し伸べました。「全国から支援を受け、学費が払えなくなる心配はなくなった」と蘇さん。支援を受けたのは蘇さん一人だけではありません。通っていた小学校は「希望小学校」に改築され、貧困家庭の子どもの多くが支援を受けられました。
2002年に大学に進学した蘇さんはアルバイトを続け、大学から学期ごとに定額支給される生活手当はすべて他の貧困家庭の学生に回しました。中国工商銀行の安徽省支店に就職すると、最初の給料をすべて希望工程に寄付し、その後も毎月、収入の一部を寄付しています。2018年には貯金3万元(約62万円)を使って「助学基金」を設立しました。同基金は今年9月までに約490万元(約1億円)を集め、希望小学校5校の建設を支援しました。
蘇さんにとって、子どものころの最大の夢は「勉強できるようになること」でした。現在の願いは「より多くの子どもを助けること」です。
希望工程とは、中国青少年発展基金会が、貧困地区の学校に通えない子どもらを救助することを目的として1989年に始めた公益事業です。希望小学校を建設し、貧困地区の子どもの復学を支援し、農村部の学校運営条件を改善することを趣旨としています。 (ヒガシ 柳川)