北京
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北京で開催中の中国共産党第20回全国代表大会(第20回党大会)をめぐり、明治学院大学国際平和研究所の石田隆至研究員が18日、中央広播電視総台(チャイナ・メディア・グループ/CMG)のインタビューに応じました。石田氏は、「人類的価値が瀬戸際にある現在、中国共産党は新たな平和的共生を創出しようと努力している」という見方を示しました。
現在、上海交通大学戦争裁判と世界平和研究院で研究滞在中の石田氏は、第20回党大会報告で総括された直近5年間について、「新型コロナウイルス感染症や国際情勢の変化などを背景に、多くの深刻な試練がもたらされたにもかかわらず、外部との関係を断ち切ったり、覇権によって他者を従属させたりするといった、単純化した解決策は取られなかった」と中国共産党の対応姿勢にみられる特徴を指摘しました。
そうした特徴が生み出された背景については、中国が近代以降、被侵略の歴史や戦後の中国封じ込めを経験してきたことに触れたうえで、「一国二制度、人類運命共同体、平和五原則、多国間主義など、異なる他者とも可能なかぎり共存し、活かし合おうとする従来の姿勢が貫かれてきたからだ」と総括しました。また、「複雑な事態に複雑に対処する」際の思想的源泉は、報告で言及された「マルクス主義の中国化・現代化」であり、「草の根の側に立つ」ことを特徴とする人民民主にあると掘り下げて分析しました。
石田氏はまた昨年、「世界マルクス主義研究」をテーマに上海で開かれた国際会議に参加した時の見聞として、「民主主義・国際正義・平和的共存といった人類的価値が瀬戸際にあるという認識が共有されていた。攻防の最前線に立つ中国共産党が、マルクス主義を再興させることでその困難を転じ、新たな平和的共生を創出しようとする努力を、世界各地からの参加者たちは高く評価していた」と話しました。
同じく平和研究の立場から、石田氏は第20回党大会報告における「一国二制度」の内容にも注目しています。「一国二制度は、社会主義と資本主義という相容れない体制の共存を図る、多様に開かれた世界に類をみない創造的な実験だ。しかし過去5年、この実験が外部から介入され、破壊されようとし、これまでにない危機を迎えた。そうした中でも中国は『一国二制度』や『平和的統一』などの方針を堅持し、グローバル・ガバナンス、国際関係の民主化、反冷戦といった『新しいタイプの国際関係の構築』を掲げて続けており、世界有数の平和勢力であることを示した」とポジティブに評価しました。(Yan、CK)