【観察眼】等身大の報道こそが中国の真の姿を知る第一歩

2022-10-17 20:30:01  CRI

 中国共産党第20回全国代表大会が16日に開幕した。中国において、この大会は党と国の行動や基本方針を決める重要な会議である。

 今回は750人の外国人記者を含む約2500人の記者が取材に当たっているという。開幕前日の記者会見では、大会の報道官は各国メディアに謝意を伝えるとともに、中国共産党の開かれた姿勢を改めて示した。しかしそんな中、開幕した日の夜、日本のテレビ局が夜の報道番組で、「習国家主席 台湾統一のためには武力行使も辞さない姿勢示す」という見出しで報じた。見出しだけでなく、詳細報道においても「(中国共産党は)最大の誠意と努力で平和的な統一を堅持するが、決して武力行使を放棄せずあらゆる必要な措置をとるという選択肢を残す」という表現を使っていた。

 私たちはこの記事、そして記事が多くの人にみられた現象に注視している。その主な理由の1つ目としては、関係者の外国報道の基本的素養に関する疑問である。

 ここで第20回党大会報告における台湾問題に関する説明を原文で見てみよう。

 「台湾問題の解决は中国人自身の課題であり、中国人により决めるべきだ。われわれは最大の誠意をもって、最大の努力を尽くして平和統一のシナリオを確実にしていくよう堅持するが、武力行使の放棄を決して約束せず、あらゆる必要な措置の選択肢を保留する。これは外部勢力の干渉や、ごく少数の“台湾独立”分裂勢力とその分裂活動を標的とするもので、決して広範な台湾同胞を対象とするものではない」

 ここで強調されるポイントは、「台湾は中国の内政」「平和統一に向けて努力する」「武力行使の放棄は約束しないが、分裂勢力とその分裂活動を標的にするもの」であるということだ。この記事の伝え方に疑問を感じた点は、発言者の主旨を全面的に伝えていないうえに、「武力行使の放棄は約束しない」という表現は略されて「武力行使を放棄しない」となり、さらに、それを踏まえた上で拡大解釈して、「台湾統一のために武力行使も辞さない」という見出しになって、視聴者やネットユーザーの注目を浴びたことにある。最近の地域情勢や世界情勢の現状から、台湾問題は普段から注目度の高いネタであるだけに、微妙な言葉遣いによって視聴者に与えるイメージは大きく異なってくる。

 記者や編集者は文字を頼りに仕事に従事しており、言葉選びには慎重な姿勢が求められる。仮に、こうなった理由が、中国語力不足から来たものならば、関係者に中国語の学習に励むよう切に望む。

 次に、報道姿勢に対する疑問である。「公平・公正」「不偏不党」を求める日本メディアは、残念ながら今回の報道では、そうしたさりげない不適切な言葉遣いをすることにより、強硬で好戦的な中国のイメージを作り上げている。こうした報道姿勢では、「不偏不党」とは言い難い。

 3つ目は、こうした報道がもたらす社会的影響への懸念である。ここ数年、世論調査の結果では、日本国民の中国に対する好感度は年々低下しているが、今回の報道例は、図らずもその背後の原因を垣間見せてくれることになった。

 開幕したばかりの第20回党大会は、中国にとって、社会主義現代化国家の全面的建設という新たな道のりに踏み出し、二つ目の百年奮闘目標に向かって前進する正念場の時期に開催された非常に重要な大会であり、世界からも当然注目されている。党大会報告でも強調されたように、中国共産党は「世界の平和と発展を促進し、人類運命共同体の構築を推進する」政党である。日本メディアは客観的、公正、真実の角度に基づいて、日本のすぐ隣にある隣国をとらえてほしい。それこそが相互理解の第一歩となるからである。 (CRI日本語部論説員)

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