中国の国宝級女性指揮者・鄭小瑛さん~第1弾~

2022-10-23 23:24:05  CRI

 中国の国宝級女性指揮者・鄭小瑛さんがこのほど、93歳の誕生日を迎えました。前日の夜、浙江省人民大会堂で、白髪の元気な鄭小瑛さんが黒いタキシード姿で舞台に上がると、会場からは拍手が沸き起こりました。鄭小瑛さんが指揮する大型合唱曲「黄河大合唱」が鳴り響くと、観客たちは音楽が見せてくれる母なる川・黄河の壮大な勢いに心を躍らせ、白髪の「女性指揮者」の魅力にも深く感服しました。曲の終わり、指揮台を降りた鄭小瑛さんは、大きな拍手と「鄭小瑛、愛してる」という情熱に満ちた叫び声を受け、ホールは熱狂に包まれました。中国メロディーは今回から3回に分けて鄭小瑛さんの音楽の世界を紹介します。

 中国初の女性シンフォニー指揮者、鄭小瑛さん。彼女の器用で感情豊かな手つきは「歌うことができ、音楽を読み解くことができる」と、多くの演奏家たちから高く評価されてきました。長い間、音楽指揮の分野は男性優位で、女性の居場所はありませんでした。そのため、中国の音楽業界、さらには世界の音楽業界にとって鄭小瑛さんは極めて貴重で異色の存在となっています。彼女は「もし私の命が指揮台で終わるなら、それは最もロマンチックなことだ」と言っています。

 1929年9月、上海のインテリ家庭に生まれた鄭小瑛さんは、23歳で中央音楽学院作曲科に入学しました。1960年、旧ソ連に派遣され、オペラ、交響楽指揮を専攻しました。1962年、32歳の時に国立モスクワ音楽劇場でイタリアのオペラ「トスカ」を指揮して大成功を収め、外国のオペラ劇場の舞台に立った初の中国人指揮者となりました。男性主導の指揮界で頭角を現し、中央歌劇団首席指揮者、中央音楽大学指揮科の学部長などを歴任しました。彼女は「性差別に遭ったことはないが、性別で優遇されたこともない。祖国と人々に感謝している」と語りました。

 1989年、鄭小瑛さんは中国初の女性室内楽団であるフィルハーモニー女性室内楽団の創設に参加し、70人以上の女性アーティストが楽団に加入しました。この楽団は中国人女性の文化的名刺として、世界各地を訪問して公演を行ったり、国連世界女性会議の開幕式のステージに登場したりしています。素晴らしい音楽で国境を越え、友情の架け橋になってきました。

 現在、93歳の鄭小瑛さん。依然として音楽の舞台で活躍し続け、彼女のはつらつとした芸術の生命力は音楽を愛するすべての人の心を揺さぶります。

番組の中でお送りした曲

1曲目 保卫黄河(黄河を守る)

 『黄河钢琴协奏曲(黄河ピアノ協奏曲)』の第4楽章です。曲は銅管からの呼びかけのようなリードから始まり、続いて黄河を守るというテーマがピアノに導かれ、抗日の戦場に赴き、闘志を燃やす人々の様子が表現されています。続いてピアノとオーケストラの競演で曲のクライマックスが繰り出されます。

2曲目 梁祝(梁山伯と祝英台)

 鄭小瑛さんが著名バイオリニストの呂思清さんや中央楽団と共演したバイオリン協奏曲の名曲です。中国の民間説話にある悲恋物語「梁山伯と祝英台」を題材にした曲で、何占豪と陳鋼が1958年に作曲したバイオリン協奏曲です。


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