【CRI時評】再び壁に突き当たるワシントンの覇権

2022-10-11 10:33:27  CRI

 石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の産油国でつくる「OPECプラス」が11月から原油を日量200万バレル減産すると決定したことを巡り、米国内はこの数日、混乱に陥っている。バイデン政権は元々、中東の主要産油国が増産することで、原油価格の上昇が抑制され、国内のインフレ抑制に役立つと期待していたため、裏目に出てしまった。米政治専門紙ザ・ヒルは、OPECプラスの決定がバイデン大統領に外交政策の面で打撃を与えたと論じている。

 米政府当局者はこの数カ月、エネルギー価格の上昇を抑制して安定させ、中間選挙までに高インフレを抑え込ませようと、国内外で積極的に活動してきた。しかし、OPECプラスの決定によって、米政府当局者のこれまでの努力は水泡に帰すとともに、民主党の選挙情勢にも悪影響が及ぶ可能性が高い。

 さらに重要なのは、米政府の外交が面目を失ったことだ。バイデン大統領にとって、7月のサウジアラビア訪問の重要な目的は、国内のインフレ抑制のためにさらに低い原油価格を求めることだった。米CNNによると、OPECプラス会合の数日前、米政府でエネルギー・経済・外交政策を担当する高官は、関係国に対し、減産に反対票を投じるよう働きかけを続けていたが、失敗に終わった。

 ある分析によると、中東における米国の戦略的縮小に伴い、サウジアラビアなど、この地域の大国の発言権がさらに増している。ロシアとウクライナの軍事衝突が勃発した後、中東産油国は、地政学的な行動余地がさらに大きくなり、これ以上米国に従うことを望んでいない。

 CNNは9日付の論評で、OPECプラスの減産決定は「米国を傷つけた」が、これらの国々にもそれぞれの国益と戦略があり、米国の従属国ではないことを、米国は認識すべきだと指摘している。

 皮肉なことに、米国がOPECプラスの減産に怒りを表明した時、フランスのマクロン大統領は、エネルギー不足に陥っている欧州の盟友に天然ガスを高値で売りつける米国の行為は欧米の「友情の真髄」ではないと、米国に向かって叫んだ。

 OPECプラスの減産が原油価格の上昇をもたらすと激しく非難する一方で、欧州の盟友に販売する天然ガスの価格を引き上げる。「アメリカ・ファースト」の身勝手さと横暴さが余すところなく現れている。欧州理事会議長を務めたドナルド・トゥスク氏の「米国のような友人がいれば、他にまだ敵が必要か」という名言を思い出さずにはいられない。(CRI論説員)

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